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大いなる“青い”山並みの秘密と貴重な動植物の生息地
ブルー・マウンテンズは、シドニーから西へ約120kmに位置するグレートディヴァイディング山脈東部の一部で、南北約100kmの山岳地帯です。約3億年前以降の堆積岩からなる台地に深さ700mもの渓谷が刻まれ、厚い砂岩層や石炭層が見られます。標高1300mほどの峰々は、この地域一帯に自生するユーカリ林から揮発した油分が太陽光を反射することで青く霞んで見えることがあり、これが「ブルー・マウンテンズ」の名の由来となっています。この地域には世界のユーカリの約13%にあたる90種以上が生育し、そのうち12種はシドニーの砂岩地域にのみ生育しているといわれています。その他にも数百の固有種や絶滅危惧種といった貴重な植物が自生しています。こうした多様な植物群によって400種以上の脊椎動物(うち約40種は絶滅危惧種)の生息地にもなっており、中にはカモノハシやハリモグラといったおなじみの動物もこの地域に生息しています。
雄大な自然の中でアボリジナル・ピープルの伝説を語り継ぐ奇岩
世界遺産として登録されている範囲内には、ブルー・マウンテンズやウォレミなど7つの国立公園と、世界最古の鍾乳洞がみられるジェノラン・ケーヴズ・カルスト保護区が含まれています。また、ブルー・マウンテンズには私営の「シーニック・ワールド」という観光施設があり、かつて石炭の積出に利用されていたトロッコ列車がもととなっている「シーニック・レールウェイ」を含む、3種類のアトラクションに乗ることができます。これらのアトラクションや近くの「エコー・ポイント」と呼ばれる展望台からは、3つの奇岩が並んだ様子で有名な「スリー・シスターズ」を見ることができます。この岩山の名前は、魔法により3姉妹が岩に変えられてしまったというアボリジナル・ピープルの伝説に由来しています。
20世紀最大の植物学的発見
1994年、国立公園・野生生物局のレンジャーであるデイビッド・ノーブル氏によって、新種のマツが発見されました。ウォレミ国立公園で見つかったことから名前は「ウォレミマツ」といい、1億年以上前の中生代から見つかる化石植物に似ているため、「生きている化石」ともいわれています。近縁種が生きていたのはジュラ紀であることが判明しており、ウォレミマツは大量絶滅を乗り越え、孤立した環境で気候変動の影響を受けずに生き延びたと考えられています。現地の野生群生はわずか100本程度で絶滅が危惧されており、厳重に保護されています。一方で、種の存続のために世界各地の植物園で若木の育成が行われ、シドニー王立植物園や、世界遺産であるロンドンの『キューの王立植物園』など有名な研究拠点をはじめ、世界各地で見ることができます。日本の植物園でも栽植されており、「ジュラシック・ツリー」の愛称で知られています。
アクセス
シドニー市内から拠点のカトゥーンバ駅まで電車で約2時間。
執筆協力者PROFILE
幼少期に飛行機から見たさまざまな地形や街の姿に魅了され、大学で地理学を専攻。教壇に立つなかで世界遺産の可能性に惹かれ、世界遺産検定マイスターに。気象予報士の資格を持ち、趣味で各地の世界遺産とそこにみられる気候・気象現象との関連を探っている。
アクセス
シドニー市内から拠点のカトゥーンバ駅まで電車で約2時間。
執筆協力者PROFILE
幼少期に飛行機から見たさまざまな地形や街の姿に魅了され、大学で地理学を専攻。教壇に立つなかで世界遺産の可能性に惹かれ、世界遺産検定マイスターに。気象予報士の資格を持ち、趣味で各地の世界遺産とそこにみられる気候・気象現象との関連を探っている。
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