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塩の街
オーストリアの中央部に位置する『ハルシュタット=ダッハシュタイン/ザルツカンマーグートの文化的景観』は、先史時代から続く岩塩採掘の歴史を持つ地域であり、ヨーロッパ最古の塩鉱山の一つとして知られています。「ザルツ」とはドイツ語で「塩」を意味し、「ザルツカンマーグート」とは「塩の王領地」を意味します。その名が表す通り、この地域では太古から岩塩の採掘が行われており、その歴史は有史以前に遡ります。
数千年にわたる塩の採掘の歴史
ハルシュタットでは紀元前2千年紀には塩の生産が行われていました。青銅器時代から初期鉄器時代(紀元前10~前5世紀頃)に、オーストリアを中心に繁栄していたと考えられている青銅器文化は、ハルシュタットで多くの遺物が発掘されたことから「ハルシュタット文化」と呼ばれています。古代ローマ帝国の時代も岩塩の採掘は行われ、14世紀に再び隆盛となりました。16世紀になると、神聖ローマ帝国がハルシュタットを国有化し、ハプスブルク家の重要な財源となりました。1750年の火災で多くの伝統的家屋が焼失してしまいますが、後期バロック様式でその多くが再建されました。
「ザルツカンマーグートの真珠」
ザルツカンマーグートは、アルプスの山々に囲まれた風光明媚な湖水地帯です。なかでも最奥部に位置するハルシュタットは、山と湖により周囲の都市から隔絶されていましたが、19世紀に鉄道が整備されると、ヨーロッパでも有数の観光地となりました。その美しい景観から「ザルツカンマーグートの真珠」と呼ばれています。近年では、映画「サウンド・オブ・ミュージック』の舞台としても知られるほか、映画『アナと雪の女王』に登場するアレンデール王国のモデルとも言われています。しかし、過剰な観光客の流入によって地域住民の生活に悪影響が生じており、オーバーツーリズムが問題となっています。
アクセス
首都ウィーンの「ウィーン駅」から「アットナンク・プッハイム駅」まで行き、ローカル線に乗り換えて「ハルシュタット駅」まで約4時間。駅から湖を隔てた対岸の町までは船で渡らなければならない。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
アクセス
首都ウィーンの「ウィーン駅」から「アットナンク・プッハイム駅」まで行き、ローカル線に乗り換えて「ハルシュタット駅」まで約4時間。駅から湖を隔てた対岸の町までは船で渡らなければならない。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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