杭州にある西湖の文化的景観
水面に浮かぶように立つ集賢亭

遺産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : 中華人民共和国 所在地 : 浙江省杭州市 分類 : 文化遺産 登録年 : 2011年 登録基準 : (ii) (iii) (vi) 遺産の面積 : 33.2288㎢ バッファ・ゾーン : 72.7031㎢ 座標 : N30 14 15 E120 8 27

about

人の手が加わることで生まれた美しい眺望

浙江省杭州市の中心部にある外周15kmほどの西湖は、三方を丘に囲まれ霧に包まれることが多いところです。この山水画のような世界は、9世紀の唐代以降多くの文人墨客を惹きつけてきました。13世紀に南宋が首都を置いて以降、杭州は中国人にとって伝統的な景観の最高例となりました。13世紀にこの地を訪れたマルコ・ポーロもその美しさを絶賛しました。西湖の周辺には、中国の歴史ある寺廟や楼閣、庭園などが多くあり、湖に浮かぶ3つの島や人工的に造られた2ヵ所の堤防などが絵画的に眺望を演出しています。これは人々がより一層美しい景観を求めて、自然の姿に「改良」を重ねてきたことで生み出された文化的景観です。

日本や韓国にも影響を与えた庭園設計

唐代の詩人・白居易(白楽天)が築いた「白堤」と、それに倣って北宋の文豪・蘇軾が建てた「蘇堤」で、桃と柳の木々が交互に植えられた美しい景観を作り出しています。西湖のうち、特に風光明媚な10の名所は「西湖十景」と言われていて、春の蘇堤を指す「蘇堤春暁」、湖面に蓮が浮かぶ「曲院風荷」、仲秋の名月を望む「平湖秋月」などがあります。西湖の名声は後代の王朝だけでなく、日本や朝鮮の庭園設計にも大きな影響を与えました。江戸時代初期、水戸徳川家初代藩主徳川頼房と、2代光圀によって完成した小石川後楽園はその一例で、西湖の堤を実現したものです。

アクセス

杭州蕭山国際空港の「蕭山国際機場駅」から地下鉄7号線で「呉山広場駅」まで40~50分。駅から西湖までは徒歩で10~15分。

執筆協力者PROFILE

萩原 卓
萩原 卓
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/森林インストラクター/自然観察指導員/国家資格キャリアコンサルタント

大阪府出身。大学卒業後電気機器メーカーに入社、2015年退職。在職時代世界遺産に興味を持ち、2010年世界遺産検定マイスター資格取得、以降世界遺産アカデミー認定講師として、大学、自治体、カルチャー教室等で世界遺産講座や世界遺産検定対策講座など多数実施中。

遺産DATA

所在地 : 浙江省杭州市
分類 : 文化遺産
登録年 : 2011年
登録基準 : (ii) (iii) (vi)
遺産の面積 : 33.2288㎢
バッファ・ゾーン : 72.7031㎢
座標 :N30 14 15 E120 8 27

アクセス

杭州蕭山国際空港の「蕭山国際機場駅」から地下鉄7号線で「呉山広場駅」まで40~50分。駅から西湖までは徒歩で10~15分。

執筆協力者PROFILE

萩原 卓
萩原 卓
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター/森林インストラクター/自然観察指導員/国家資格キャリアコンサルタント

大阪府出身。大学卒業後電気機器メーカーに入社、2015年退職。在職時代世界遺産に興味を持ち、2010年世界遺産検定マイスター資格取得、以降世界遺産アカデミー認定講師として、大学、自治体、カルチャー教室等で世界遺産講座や世界遺産検定対策講座など多数実施中。