ヘブロン:アル・ハリールの旧市街
マムルーク朝時代に隊商交易の要衝として築かれ、のちのオスマン帝国時代に大きく発展した

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : パレスチナ国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2017年 危機遺産 : 2017年~ 登録基準 : (ii) (iv) (vi) 遺産の面積 : 0.206㎢ バッファ・ゾーン : 1.522㎢ 座標 : N31 31 28 E35 6 30

about

アブラハムが葬られた洞穴がある地

パレスチナ西岸地区の南部に位置するヘブロンは、マムルーク朝時代に築かれた市街地です。しかし、それより以前にも隊商交易の要衝でもあり、紀元前1世紀には最初の預言者とされるアブラハムとその家族の墓も築かれました。『旧約聖書』によると、アブラハムは「マクペラの洞穴」に葬られたとされ、その洞穴がヘブロンにあると信じられたため、ここに墓が築かれました。アブラハムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教徒にとって、「啓典の民」の始祖とされるため、ヘブロンは三つの宗教の巡礼地となっています。都市の構造としては、マムルーク朝からオスマン帝国と、やはりイスラム王朝の支配が続いたので、イスラム都市の要素が多いです。マムルーク朝時代のスークやモスク、ハマムなども現存しています。

世界遺産登録が物議を醸す

ヘブロンではパレスチナ人とユダヤ人との衝突がしばしば起きています。1967年の第三次中東戦争の後に、ユダヤ人がヘブロン周辺に入植地を建設したことがはじまりです。また、1994年には銃乱射事件が起こり、マクペラの洞穴はこれ以降二分割され、ユダヤ人とイスラム教徒は別々の空間で礼拝をしています。このような経緯もあり、本遺産は2017年に「緊急的登録推薦」され、世界遺産に登録されました。しかし、ユダヤ教の価値が十分に示されていないとして、イスラエルとアメリカが反発し、その結果2018年に両国はUNESCOを脱退するという事態にまで発展しました(なお、アメリカは2023年に復帰しましたが、トランプ政権の2025年に再び脱退を表明しています。)。現在でも、ユダヤ人とパレスチナ人との問題が絶えず、遺産の保護・保全に困難な状況が生じていることから危機遺産となっています。

アクセス

エルサレムからバスで約40分。

執筆協力者PROFILE

京都橘大学・大阪成蹊大学講師/NPO世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

保有国 : パレスチナ国
分類 : 文化遺産
登録年 : 2017年
危機遺産 : 2017年~
登録基準 : (ii) (iv) (vi)
遺産の面積 : 0.206㎢
バッファ・ゾーン : 1.522㎢
座標 :N31 31 28 E35 6 30

アクセス

エルサレムからバスで約40分。

執筆協力者PROFILE

京都橘大学・大阪成蹊大学講師/NPO世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。