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厩戸王(聖徳太子)ゆかりの仏教建造物
『法隆寺地域の仏教建造物群』は、法隆寺に属する47棟と法起寺の三重塔1棟の合計48棟で構成されています。法隆寺西院の金堂、五重塔、中門、回廊、法起寺三重塔など、7世紀後半から8世紀にかけて建立された11棟の建造物は、現存する世界最古級の木造建造物です。中国の優れた政治や文化、仏教を積極的に取り入れていた厩戸王(聖徳太子)は、601年に斑鳩宮を築き、推古天皇と共に移り住みました。そして、その西に607年頃、若草伽藍(斑鳩寺)を建立しました。これが法隆寺の起源とされています。同じ頃に中宮寺や岡本宮(法起寺)も建立され、斑鳩伽藍群が完成したと考えられています。622年に厩戸王が没すると、643年には蘇我入鹿の兵によって斑鳩宮が焼き払われ、斑鳩寺も670年に焼失しました。若草伽藍の遺構は、法隆寺境内の地下に「若草伽藍跡」として残されています。現在の法隆寺は、7世紀後半から8世紀初頭にかけて、現在の法隆寺西院の位置に再建されたものです。
東西2つの伽藍群からなる法隆寺
125棟もの建造物が建ち並ぶ法隆寺の境内は、西院と東院の2つの伽藍群と、子院から構成されています。西院は、聖徳太子が創建した若草伽藍を起源としており、金堂と五重塔が東西に並び、回廊と中門がそれらを囲む形で建てられています。東に金堂、西に塔が並ぶこの配置は「法隆寺式伽藍配置」と呼ばれています。一方、夢殿や伝法堂などからなる東院は、聖徳太子没後の739年、太子の住居(斑鳩宮)跡に建立された上宮王院をもとにしたものです。子院は高僧とその弟子たちが集団ごとに集まり宗教生活を送った小規模な寺院で、現在残るものの多くが16~17世紀頃につくられました。法隆寺の建造物のうち18棟が国宝(西院に15棟、東院に3棟)に、29棟(西院・東院に各6棟、子院に17棟)が重要文化財に指定されています。

現存する日本最古で最大の木造三重塔
法起寺は、606年に聖徳太子が法華経を講説した岡本宮を、太子の死後に寺院に改めたものです。現在は706年に建立された三重塔のみが残っていますが、かつては三重塔と金堂が横に並ぶ、法隆寺西院伽藍と同じ配置であったと考えられています。ただし、法隆寺西院とは塔と金堂の配置が逆(法起寺では金堂が西側、塔が東側)であるため、法起寺の伽藍配置は「法起寺式伽藍配置」と呼ばれています。三重塔は高さ約24mで、日本に現存する三重塔としては最古であり、かつ最大規模のものとして知られています。各層の屋根の構造や装飾方法などには、法隆寺の五重塔との共通点が見られ、飛鳥時代の建築様式を今に伝える貴重な建造物です。

アクセス
JR法隆寺駅から法隆寺まで徒歩で約20分。バスの場合は「法隆寺参道」停留所で下車後、徒歩で約15分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
アクセス
JR法隆寺駅から法隆寺まで徒歩で約20分。バスの場合は「法隆寺参道」停留所で下車後、徒歩で約15分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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