about
デンマーク人のアイデンティティの象徴
ユトランド半島中東部の街、イェリングはデンマーク王国発祥の地で、10世紀ごろのヴァイキング時代のゴーム王とその息子、ハーラル1世(青歯王)の王宮があった場所です。現在2つの墳墓と大小2つのルーン石碑(古代ゲルマン文字のルーン語が刻まれた石碑)、それに、白塗りの石造りの小さな教会(建築当初は木造の教会)が残っています。墳墓と石碑は、何世代にもわたってデンマーク国家の創設とデンマーク人のアイデンティティの象徴となってきました。デンマーク人が土着の宗教から、いつ、どのようにキリスト教徒になったか、その改宗の歴史を示す貴重な証です。 デンマークの最初の世界遺産として、1994年に登録されました。
異教の慣習を示す墳墓とキリスト教の教会が共存
960年ごろ、ハーラル青歯王はキリスト教の洗礼を受け、国内をキリスト教化しました。ノルウェーを支配した後、ハーラル青歯王は、2つの墳墓の間に石碑を建て、イェリングに最初の木造教会を建てました。石碑は、2つの墳墓のほぼ中間に位置しています。大きな方の石碑には、「全デンマークとノルウェーを勝ち取り、デーン人をキリスト教徒にした」とルーン文字が刻まれており、デンマークの統一、ノルウェーの支配、キリスト教の導入の記録が、伝統的な土着宗教の慣習を物語る墳墓の側に残されています。また北欧のスカンディナヴィアで最も初期のキリスト像のレリーフがヴァイキング独特の伝統的な装飾に囲まれて刻まれています。また2006年の発掘調査では、記念碑を囲む壮大な柵と、石造りの船の一部が見つかり、2018年に世界遺産の構成資産として追加登録されました。現在、国立博物館などによる更なる調査が進められています。異教の慣習である墳墓とキリスト教の象徴である教会が同じ所に残っているのは、スカンジナビアだけでなく、ヨーロッパの他の地域を見ても異例です。なお、無線通信の分野で世界的に普及しているBluetooth技術の名称は、人脈作りに秀でたハーラル青歯王(Bluetooth)の名前が由来とされています。
アクセス
デンマークの首都・コペンハーゲンなどから電車で最寄りのイェリング駅へ。イェリング駅から徒歩で約5分。
執筆協力者PROFILE
中央大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院修了(MBA)。元民放ニュースキャスターで、NHKに転職後、解説委員として世界遺産の価値や課題を取材・解説。学芸員、防災士の資格をもつ。文化審議会文化政策部会の委員を務めた(15〜20期)。
アクセス
デンマークの首都・コペンハーゲンなどから電車で最寄りのイェリング駅へ。イェリング駅から徒歩で約5分。
執筆協力者PROFILE
中央大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院修了(MBA)。元民放ニュースキャスターで、NHKに転職後、解説委員として世界遺産の価値や課題を取材・解説。学芸員、防災士の資格をもつ。文化審議会文化政策部会の委員を務めた(15〜20期)。
Similar Heritage
特徴が似た遺産を探す