about
広大な農村地帯に現れる巨大な電波望遠鏡
イングランド北西部マンチェスター郊外の田園地帯に位置するジョドレルバンク天文台は、世界最大級の電波天文観測所として知られています。送電線が無く電波干渉が最小限であることからこの地が選ばれました。広大な農村地帯に現れる巨大な望遠鏡が印象的ですが、電波天文学の発展に重要な役割を果たしている天文台でもあります。流星や月の研究、クエーサーと呼ばれるブラックホールに物質が吸い込まれる際のエネルギーによって輝く天体の発見、量子工学、宇宙船の追跡などあらゆる分野で大きな科学的成果をあげてきました。ジョドレルバンク天文台は旧来の光学天文学から電波天文学への移行を著しく証明する遺産です。また、世界遺産条約の意義の中には新しい分野の文化遺産の定義があり、ジョドレルバンク天文台は、UNESCOがICOMOSやIAU(国際天文学連合)と共に進める天文遺産の分野で高い評価を受けていたこともあり、2019年に世界遺産に登録されました。
第一次世界大戦の戦艦部品が流用された「ラヴェル望遠鏡」
研究施設はもともと別の地に存在していましたが、宇宙線の研究が路面電車からの電気的な影響を受けていたため、マンチェスター大学の天文物理学者バーナード・ラヴェルによって、1945年にマンチェスター大学が所有していたジョドレルバンクへ移転されました。施設には、バーナード・ラヴェルから名前をとったラヴェル望遠鏡やマークⅡ望遠鏡などの電波望遠鏡、サーチライトを用いた機器の遺構、その他研究用の建屋などが含まれています。特に1957年完成のラヴェル望遠鏡は直径76mを誇る大望遠鏡です。建設当初はマークⅠと呼ばれており、第一次世界大戦で使われた戦艦の砲台の可動ギアが流用されました。完成したその年に、ソ連の打ち上げた世界初の人工衛星スプートニク1号の追跡を成功させています。その後の米ソ冷戦時代も、宇宙開発にしのぎを削るアメリカやソ連からの依頼を受けて、宇宙探査機の追跡を行うなど世界的に活躍しました。
アクセス
マンチェスター空港から車で約30分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
アクセス
マンチェスター空港から車で約30分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
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