モダニズム都市カウナス:楽観主義建築(1919-1939)
遺産を代表する建物、カウナス中央郵便局。臨時首都カウナスは10年で1万棟の建物が建ったという

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : リトアニア共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2023年 登録基準 : (iv) 遺産の面積 : 4.516㎢ バッファ・ゾーン : 4.074㎢ 座標 : N54 53 49 E23 55 45

about

カウナスが近代都市として発展した背景

カウナスは第一次世界大戦と第二次世界大戦の間、リトアニアの暫定首都となりました。遺産名にも入っている1919年から1939年までの期間に急速な都市化と近代化が進み、近代都市として発展しました。多くの建築家によってこの時期に建てられた建造物は、6,000棟ほどが現存しています。カウナスはまた、第二次世界大戦中に日本の外交官・杉原千畝が赴任し、多くのユダヤ人に「命のビザ」を発給した都市としても知られています。

杉原千畝記念館
杉原千畝記念館も世界遺産の登録範囲(プロパティ)内にある(Ⓒsola_tabi/photoAC)

リトアニアの地域性とモダニズムが融合したカウナスの代表的建物

当時、ヨーロッパで盛んだったモダニズムの思想とカウナスの地域性が融合しました。その代表的な建造物が、フェリクサス・ヴィズバラスが設計した「カウナス中央郵便局」です。リトアニアの地域性は、コーニスと呼ばれる建物外壁の上端部に施された装飾や、伝統的な織り模様を表現したセラミックタイルなどに見られます。これらの要素がモダニズムと融合し、個性豊かな都市景観を形成しました。

楽観主義建築とは

暫定首都として急速に発展したカウナスは、20年足らずの間に近代都市として変貌を遂げました。この過程は、急速な都市化と近代化にさらされた歴史都市の顕著な事例です。国境が大きく変動した20世紀初頭において、「未来への楽観的な観念」が多様な形で建築に表現されました。この理念は、世界遺産名「Architecture of Optimism」にも込められています。

アクセス

首都ビリニュスからカウナスまで高速道路で約1時間。

執筆協力者PROFILE

宮澤 裕一
宮澤 裕一
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/保育士/社会福祉士

保育士の資格を取得後、2005年より児童関係の仕事に就く。仕事をしながら社会福祉士の資格を取得し、興味を持っていた世界遺産検定にも挑戦。世界遺産検定1級を複数回合格。現在は仕事と並行しながら保育や世界遺産を中心としたブログも執筆している。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 2023年
登録基準 : (iv)
遺産の面積 : 4.516㎢
バッファ・ゾーン : 4.074㎢
座標 :N54 53 49 E23 55 45

アクセス

首都ビリニュスからカウナスまで高速道路で約1時間。

執筆協力者PROFILE

宮澤 裕一
宮澤 裕一
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/保育士/社会福祉士

保育士の資格を取得後、2005年より児童関係の仕事に就く。仕事をしながら社会福祉士の資格を取得し、興味を持っていた世界遺産検定にも挑戦。世界遺産検定1級を複数回合格。現在は仕事と並行しながら保育や世界遺産を中心としたブログも執筆している。