高句麗古墳群
東明王陵を含む真坡里古墳群のうちのひとつ。現在の平壌中心部を取り囲むように古墳群が点在する

遺産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : 北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国) 所在地 : Pyongyang, South Phyongan Province, Nampho, South Hwangghae Province 分類 : 文化遺産 登録年 : 2004年 登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv) 遺産の面積 : 2.3473㎢ バッファ・ゾーン : 17.012㎢ 座標 : N38 51 47 E125 24 54

about

独特な埋葬習慣、東アジアへの影響示唆

北朝鮮の首都、平壌周辺の高句麗古墳群は、高句麗王国の中・後期にあたる4〜7世紀ごろに建造された63基からなる古墳群で、その多くに美しい壁画が残されています。高句麗は、現在の中国東北部と朝鮮半島にかけて栄えた最強の王国のひとつでした。これまでに中国と朝鮮半島で発見された1万以上の高句麗の古墳のうち、壁画が描かれている古墳は約90か所で、これらの古墳のほぼ半分は世界遺産登録された地域にあります。壁画の図柄は、青龍、白虎、朱雀、玄武を描いた四神図や狩猟図、それに日本の高松塚古墳のものと似た女性像など多岐にわたっています。衣装、食べ物、住居生活、埋葬の習慣、さらには宗教的儀式など、今は消えてしまった高句麗文化の豊かさを伝える証となっています。高松塚古墳やキトラ古墳の壁画との関連性も指摘されており、高句麗王国が日本を含む東アジアに大きな影響を与えていたことを示唆しています。

壁画を保存・修復するプロジェクト

古墳の壁画の一部は略奪や環境要因によって損傷を受けましたが、建築上の特徴はほとんど損なわれていません。一方で、壁画は、湿気、有害なバクテリア、自然の風化に弱く、古墳の1つが浸水するリスクがあると指摘されています。そこで高句麗古墳の壁画の保存修復プロジェクトは、ユネスコと共同で、古墳内部を監視・調整する遠隔内部監視システム、温湿度センサー・調整システムの計画を進めており、数年以内に設置する予定です。今後、塗料の剥がれ、古墳の腐食を防ぐための予防的保存の作業も進められる計画です。

アクセス

北朝鮮は個人での自由な旅行が認められていないため、専門の旅行会社を通じたツアーに参加する必要がある。通常は中国からの渡航が一般的。

執筆協力者PROFILE

名越 章浩
名越 章浩
元NHK解説委員/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

中央大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院修了(MBA)。元民放ニュースキャスターで、NHKに転職後、解説委員として世界遺産の価値や課題を取材・解説。学芸員、防災士の資格をもつ。文化審議会文化政策部会の委員を務めた(15〜22期)。

遺産DATA

所在地 : Pyongyang, South Phyongan Province, Nampho, South Hwangghae Province
分類 : 文化遺産
登録年 : 2004年
登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv)
遺産の面積 : 2.3473㎢
バッファ・ゾーン : 17.012㎢
座標 :N38 51 47 E125 24 54

アクセス

北朝鮮は個人での自由な旅行が認められていないため、専門の旅行会社を通じたツアーに参加する必要がある。通常は中国からの渡航が一般的。

執筆協力者PROFILE

名越 章浩
名越 章浩
元NHK解説委員/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

中央大学文学部卒業。慶應義塾大学大学院修了(MBA)。元民放ニュースキャスターで、NHKに転職後、解説委員として世界遺産の価値や課題を取材・解説。学芸員、防災士の資格をもつ。文化審議会文化政策部会の委員を務めた(15〜22期)。