ラ・ルヴィエールとル・ルー(エノー)の中央運河の4つの閘門とその周辺環境
現在も稼働しているル・ルーのボートリフト(昇降装置)

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ベルギー王国 所在地 : Walloon Region, Hainault Province 分類 : 文化遺産 登録年 : 1998年 登録基準 : (iii) (iv) 遺産の面積 : 0.673436㎢ バッファ・ゾーン : 5.388133㎢ 座標 : N50 28 51.996 E4 8 14

about

世界で唯一現存する初期水力式船舶リフト

歴史的な中央運河のこの短い区間に集中する4つの水力式船舶リフトは、最高品質の産業遺産として位置づけられています。19世紀末から20世紀初頭にかけて建設された八つの水力式船舶リフトのうち、この中央運河の四つのリフトだけが、世界で唯一、オリジナルの稼働状態を保ちながら現存しています。これらは、経済と産業が急速に拡大した19世紀ヨーロッパにおける水力工学の目覚ましい発展を証明するものであり、運河建設における工学技術の頂点を示すものとされています。

高低差を克服した水力技術の傑作と背景

運河の建設は、石炭産業が盛んなエノー地方とマース川・エスコー川流域を接続するために計画されました。しかし、短い距離で大きな水位差(各リフトで15メートルから16メートル)を克服しなければならず、利用可能な水の量も少ないという課題がありました。この困難を解決するために、イギリスの技術者によって開発された水力のみを使用する船舶リフトの技術が採用されました。7kmの区間に建設されたこの4つのリフトは、世界でも類を見ない存在となっています。

完璧な真正性を保つ19世紀末の産業景観

このリフト群は、運河自体やその付属建造物と相まって、19世紀後半の産業景観を極めて良好な状態で、かつ完全な形で残っています。リフトは現在も水力で稼働しており、その稼働機械は建設以来一切の改造を受けておらず、完璧な動作状態を維持しています。また、運河には、旧第一閘門や、リフトに必要な水力機械を収めた建物、作業員用の住宅、植樹プログラムによる並木といった関連施設が残されており、この産業景観の全構成要素が、極めて高い真正性をもって保存・維持されています。

アクセス

ブリュッセル中央駅からモンス駅まで電車で約40分〜1時間。モンス駅からサントル運河へはバスで30分~1時間ほど。

執筆協力者PROFILE

たまやん
たまやん
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。

遺産DATA

保有国 : ベルギー王国
所在地 : Walloon Region, Hainault Province
分類 : 文化遺産
登録年 : 1998年
登録基準 : (iii) (iv)
遺産の面積 : 0.673436㎢
バッファ・ゾーン : 5.388133㎢
座標 :N50 28 51.996 E4 8 14

アクセス

ブリュッセル中央駅からモンス駅まで電車で約40分〜1時間。モンス駅からサントル運河へはバスで30分~1時間ほど。

執筆協力者PROFILE

たまやん
たまやん
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。