about
スワヒリ圏随一の交易拠点
ケニア南東部インド洋に浮かぶラム島の島内に広がる旧市街は、12世紀から海洋交易の拠点として発展してきた歴史を持っています。かつて東アフリカで最も重要な貿易の中心地で、宗教的、文化的、技術的に重要な影響を与えてきました。また、東アフリカのスワヒリ圏の市街地遺跡としては最も歴史が古く、かつ保存状態も良好であることで知られています。アジアから見るとアフリカ大陸の入り口に相当するこの街は、象牙や奴隷が集まる集散地となり、アラブやペルシャ、インド、ヨーロッパの商人たちによって活発な取引が行われていました。他のスワヒリ圏の古い集落と比べて、ラムの旧市街には700年以上もの長きにわたって人々が住み続け、今もなお街として機能し続けていることが特徴です。
東アフリカ沿岸のイスラム教の中心地
19世紀以降、ラムの街は、預言者ムハンマドの子孫(シャリーフ)のハビブ・スワレが広めたイスラム神秘主義(スーフィズム)の修行者集団(タリーカ。スーフィー教団とも)の活動によって、東アフリカと中央アフリカの重要な宗教的中心地となりました。現在も街には彼の子孫が多く暮らしています。毎年イスラム暦の第3月には、ムハンマドの生誕を祝う「マウリディ祭」と呼ばれる独自の宗教行事が行われ、ケニアだけでなく周辺諸国のイスラム教徒が集まります。また、イスラム教やスワヒリ文化の教育拠点としての役割も果たしています。
伝統息づくスワヒリの街
旧市街には、サンゴ石とマングローブの木材を組み合わせた、伝統的なスワヒリ建築の街並みが広がります。家屋は中庭やベランダ、精巧な彫刻が施された木製の扉などが特徴で、シンプルな美しさが魅力です。インド洋交易による文物の伝播を物語る要素として、中国の陶器の破片が壁に埋め込まれたユニークな建物も街で見ることができます。また、路地はアラブの迷路のように複雑に入り組んでいます。このように伝統が息づくラムの旧市街ですが、近年では開発の進行による市街地の景観悪化や、オーバーツーリズムといった問題に直面しており、観光客の増加にどのように対処していくかが課題とされています。東アフリカの土着文化にインド洋を渡ってきたイスラム商人の文化が影響し合ったことで、独特な建築様式が築き上げられました。なかでも、が遺産価値として高く評価されています。
アクセス
首都ナイロビから最寄り街のマンダまで飛行機で約1時間20分。(モンバサからラムへはフェリーで入島可能)
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
アクセス
首都ナイロビから最寄り街のマンダまで飛行機で約1時間20分。(モンバサからラムへはフェリーで入島可能)
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
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