ル・モルヌの文化的景観
モーリシャス島南西に突き出したル・モルヌ・ブラバン半島にある

遺産DATA

地域 : アフリカ 保有国 : モーリシャス共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2008年 範囲変更年 : 2011年 登録基準 : (iii) (vi) 遺産の面積 : 3.496㎢ バッファ・ゾーン : 24.05㎢ 座標 : S20 27 7 E57 19 42

about

逃亡奴隷が身を隠して生活した山

モーリシャス南西部に位置する『ル・モルヌの文化的景観』は18~19世紀にかけて脱走した奴隷たちが身を隠して生活した岩山です。逃亡奴隷たちは天然要塞としても機能したル・モルヌ山の山頂付近や洞窟に集落を形成し隠れ家として利用しました。東方奴隷貿易の重要な拠点であった、モーリシャスには多くの奴隷(マルーン)が住んでいたことから「マルーン共和国」とも呼ばれていました。またアフリカ本土だけでなく、マダガスカルや東南アジアの奴隷の出身地とも関連のある遺物も見つかっています。現在は奴隷制への抵抗や自由の象徴となっています。

モーリシャス開拓発祥の地:トゥル・シェニール

トゥル・シェニールはル・モルヌ山の山麓に位置し、1835年の奴隷制廃止後のモーリシャス南西部開拓の発祥地とされる集落です。奴隷制前後の人々の生活の様子を解明する重要な拠点でもあります。当時の様子や記憶を世代間で継承するために、当時の家屋や生活を再現して残しています。そのなかで漁業は奴隷制時代の18世紀以来、重要な生計活動とされ、漁業に関する知識や技術も残っています。トゥル・シェニールでは漁業も含めた伝統的な技術や知識を次世代へと継承しています。

貴重な生物の生息地

ル・モルヌは岩山を中心とする壮大な景観だけでなく、生物学的特性も有しています。陸地と海洋の2つの環境を併せ持つル・モルヌには多様な生物が生息しています。その一つにはモーリシャスの国花であるトロケティア・ボウトニアナ(ブークレ・ドレイユ)が生息しています。この花は高さ3mにまで成長し、鐘形の赤い花を咲かせます。島という長い間地理的に隔離されてきた環境であったため、独自の進化を遂げた植物もあり、固有種も多く生息しています。

アクセス

サー・シウサガル・ラングーラム国際空港(Sir Seewoosagur Ramgoolam International Airport)から車で約1時間15分。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。

遺産DATA

地域 : アフリカ
分類 : 文化遺産
登録年 : 2008年
範囲変更年 : 2011年
登録基準 : (iii) (vi)
遺産の面積 : 3.496㎢
バッファ・ゾーン : 24.05㎢
座標 :S20 27 7 E57 19 42

アクセス

サー・シウサガル・ラングーラム国際空港(Sir Seewoosagur Ramgoolam International Airport)から車で約1時間15分。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。