レドニツェ-ヴァルチツェの文化的景観
レドニツェ城。これらは17~20世紀にリヒテンシュタイン公爵家によって築かれた

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : チェコ共和国 所在地 : Breclav District, South Moravian Region 分類 : 文化遺産 登録年 : 1996年 範囲変更年 : 2025年 登録基準 : (i) (ii) (iv) 遺産の面積 : 143.2㎢ 座標 : N48 46 32.988 E16 46 30

about

数世紀にわたるヨーロッパ最大級の人工景観

チェコのモラヴィア地方南部にあるレドニツェ-ヴァルチツェの文化的景観は、17世紀から20世紀にかけてこの地を支配したリヒテンシュタイン公爵家によって計画的に形作られてきました。17世紀にヴァルチツェと領地の他の部分を結ぶ大通りの建設から始まり、数世紀にわたって意図的に設計・創造されました。世界遺産には143㎢が登録されており、広大な面積を持ち、ヨーロッパ最大級の人工景観のひとつとなっています。この景観は、公爵家の娯楽の場であると同時に、その威信と権力を視覚的に示す象徴的な空間でもありました。

バロック様式やネオ・ゴシック様式が英国式庭園と調和

レドニツェ城とヴァルチツェ城には、バロック様式をはじめ、古典主義やネオ・ゴシック様式といった異なる時代の建築様式が取り入れられています。とくにヴァルチツェ城は、中世に起源を持ちながら、ルネサンス、マニエリスムを経て、バロック様式へと大きく改修されました。その現在の外観には、ヨハン・ベルンハルト・フィッシャー・フォン・エルラッハをはじめとする中欧の著名な建築家たちが関わっています。一方、城館の周囲に広がる田園風景は、イギリスのロマン主義的な造園理念に基づいて整えられました。バロック的な秩序とロマン主義的な自然観が融合し、建築と景観が切り離されることなく、相互に引き立て合う構成が特徴となっています。

文化的要素と自然的要素が一体となった景観

この遺産のもうひとつの重要な要素は、在来種から外来種に至るまで、非常に多様な樹木と、それに基づく植栽計画にあります。両城の周囲や、池沿いの公園地帯では、特に樹種の多様性が際立っています。植栽は庭園にとどまらず、牧草地や草原、農地にも及び、直線的なバロック様式の並木道と、曲線的なイギリス式並木道が組み合わされています。こうした構成により、景観は単なる庭園の集合ではなく、広域的で統一感のある文化的空間として成立しています。この地の景観は、数世紀にわたる歴代の所有者の構想を受け継ぎながら、当初の計画理念に沿って継続的に発展してきました。レドニツェ城の敷地内には、印象的なパルメンハウス(温室)や、異国趣味を感じさせるミナレットなどの建築物も配され、文化的要素と自然的要素が一体となった景観を形づくっています。

アクセス

最寄りの大都市ブルノからブジェツラフへ電車で約30分。ブジェツラフからレドニツェ城へはバスで約20分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。

遺産DATA

保有国 : チェコ共和国
所在地 : Breclav District, South Moravian Region
分類 : 文化遺産
登録年 : 1996年
範囲変更年 : 2025年
登録基準 : (i) (ii) (iv)
遺産の面積 : 143.2㎢
座標 :N48 46 32.988 E16 46 30

アクセス

最寄りの大都市ブルノからブジェツラフへ電車で約30分。ブジェツラフからレドニツェ城へはバスで約20分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。