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吐蕃王による初のチベット統一
チベット高原の中央部、標高約3,650mに位置するラサは、ポタラ宮を中心とするチベット仏教の聖地で、チベットの政治・文化の中枢です。チベット語では「神の地」を意味するチベットの歴史は、豪族たちがチベットの各地を支配していた7世紀の初めに、吐蕃のソンツェン・ガンポ王が初めてチベットを統一し、この地に遷都しました。ソンツェン・ガンポ王は、権力を強化しつつ、インドに派遣した家臣にチベット語を作らせて、サンスクリット語の経典をチベット語に翻訳させるなど、インドと中国の仏教文化を積極的に取り入れました。またポタラ宮の原型となる城を築き、その妃はジョカン寺(トゥルナン寺)を創建しました。
ダライ・ラマ5世のチベット再統一
8世紀後半にはティソン・デツェン王が仏教を国教としましたが、国内での仏教をめぐる対立や王位継承問題などが発生し、877年に滅亡しました。その後長らくチベット全土を支配する王朝はなかったものの、1642年にダライ・ラマ5世がチベットを統一し、その3年後にはソンツェン・ガンポ王の築いた城をもとにポタラ宮の建設に着手しました。ポタラとは観音菩薩が住むとされている補陀落を意味し、観音菩薩の化身とされるダライ・ラマの宮殿としてポタラ宮が建てられました。その後歴代のダライ・ラマにより増改築が行われ、1936年に現在の姿になりました。しかし、1951年、チベットは中国に併合され、ダライ・ラマ14世はインドに亡命し、政治的に不安定な状態に置かれています。
チベット仏教の総本山
世界遺産に登録されているのは、ポタラ宮とジョカン寺、ノルブリンカの3資産です。ポタラ宮は、外観13層(実質9層)、高さ約110m、面積約13万㎡の大宮殿です。ダライ・ラマの冬の住居と、政治や宗教の儀式の場を兼ねた「白宮」、歴代ダライ・ラマのミイラが置かれている巨大霊廟「紅宮」などからなっています。7世紀に創建され、11世紀初頭に再建されたジョカン寺はチベット仏教の総本山となっています。本尊は釈迦牟尼像で、この地へチベット全域から訪れる巡礼者たちは、五体投地を繰り返しながら祈りを捧げています。そして「宝の園」を意味するノルブリンカは、18世紀にダライ・ラマが夏の離宮として造営しました。その名の通り敷地には樹木と花々で彩られていて、歴代のダライ・ラマによって増築・拡張がなされていきました。
アクセス
北京、上海、広州、成都から空路で約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。
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北京、上海、広州、成都から空路で約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。
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