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万年雪が積もる標高5,596mの玉龍雪山麓にある高地の街
中国南西部、雲南省にある麗江は、12世紀の宋代末にチベット・ビルマ語族に属する少数民族納西族(ナシ族)によって建設された古都で、万年雪が積もる標高5,596mの玉龍雪山の麓に位置する高地の街です。世界遺産に登録されているのは、麗江の旧市街の保護区と、白沙、束河の近郊2村です。麗江の旧市街は「大研鎮(だいけんちん)」と呼ばれ、かつて交易の広場だった四方街を中心に、約800年にわたって歴史を重ねてきました。この街を建設した納西族は、茶葉などの交易のためにやってきた漢族やチベット族などの諸民族の文化を取り入れて、旧市街に残された壁画や、象形文字の一種である東巴文字(トンパ文字)などをはじめとする独自の文化を生み出しました。建造物や音楽も、納西族の伝統と異文化の交流を感じさせます。
「四合五天井」や「三坊一照壁」の伝統的な建築様式
麗江は城壁がない石城として他に類を見ないものです。網の目のような石畳の道で覆われ、水路がめぐらされているこの街では、瓦葺きで2階建ての木造家屋が軒を連ねています。隙間なく立ち並ぶ民家は、古くから漢民族に伝わる「四合院」という中庭を建物でぐるりと囲む様式に工夫を加えた「四合五天井(しごうごてんじょう)」や「三坊一照壁(さんぼういっしょうへき)」といった伝統的な方法で建築されています。玉龍雪山の雪解け水は、旧市街の北側にある黒龍潭を通って街へと流れ込みます。水路には、明代につくられた2連アーチの大石橋などの石橋が架けられ、街路と水路の調和を担っています。
1996年の大地震で、大きな被害を受けた街並み
1996年に起きた大地震で、麗江の街並は大きな被害を受けました。旧来の住居ではなく、耐震に優れた構造を採用しての復興も検討されましたが、市民の意向でかつての建築様式のまま復元されました。世界遺産登録後は大量の観光客が流入し、多くの商売目当ての新住民が移り住んだことで納西族などの旧住民が旧市街の外へ転居する事態を招いています。歴史的景観も徐々に失われつつあり、大きな課題となっています。
アクセス
麗江空港からシャトルバスで約40分。
執筆協力者PROFILE
大阪府出身。大学卒業後電気機器メーカーに入社、2015年退職。在職時代世界遺産に興味を持ち、2010年世界遺産検定マイスター資格取得、以降世界遺産アカデミー認定講師として、大学、自治体、カルチャー教室等で世界遺産講座や世界遺産検定対策講座など多数実施中。
アクセス
麗江空港からシャトルバスで約40分。
執筆協力者PROFILE
大阪府出身。大学卒業後電気機器メーカーに入社、2015年退職。在職時代世界遺産に興味を持ち、2010年世界遺産検定マイスター資格取得、以降世界遺産アカデミー認定講師として、大学、自治体、カルチャー教室等で世界遺産講座や世界遺産検定対策講座など多数実施中。
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