ルート砂漠
強風による風食が続く砂漠。夏の気温が70度以上を観測したこともある

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : イラン・イスラム共和国 分類 : 自然遺産 登録年 : 2016年 登録基準 : (vii) (viii) 遺産の面積 : 22780.15㎢ バッファ・ゾーン : 17941.34㎢ 座標 : N30 12 58 E58 50 20

about

夏の気温は70℃以上 世界で一番暑い砂漠のひとつ

ルート砂漠は、イラン南東部に広がる乾燥地帯です。周囲を山々に囲まれた内陸盆地に位置しており、降水量が少なく乾燥しています。また、太古の昔の火山活動で形成された地表の黒い溶岩質の岩が、亜熱帯の太陽熱を吸収することで、極めて高温になります。夏の気温は70℃以上にもなり、「世界で一番暑い場所」と言われています。全体の広さはイランの総面積のおよそ1%を占めるという広大な不毛の地で、世界遺産には2万2,780㎢が登録されています。

強風がつくり上げた多様な砂漠地形

一帯では、6月から10月にかけて北北西の強風が吹き抜け、風に運ばれた堆積物と岩山の風食によって形成された「ヤルダン」と呼ばれる独特な地形が広がります。風によって押し流された砂が蓄積してできた巨大な砂海(エルグ)があり、線形や星形、三日月形などの砂丘や、「ネブカ」といわれる植物の周りにできる砂丘も特徴です。このように、ルート砂漠ではさまざまな種類の砂漠地形を見ることができます。

水もなく草木が生えない土地、こんなところにも生き物がいる?

「ルート」とは、ペルシャ語で「水がなく草木が生えない土地」という意味です。かつては過酷な環境のため、従来は生物は生息していないと考えられてきました。しかし、一部の地域には、高温や水のない過酷な環境に適応したハエやカマキリなどの昆虫類や、クモ、ヤモリ、オジロスナギツネといった生物が発見されており、中にはルート砂漠一帯の固有種も存在しています。また、植物相は貧弱ながらも、アカザ科やイネ科の植物など計50種以上が確認されています。

アクセス

イラン南東部のケルマーンなどからツアーに参加。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。

遺産DATA

分類 : 自然遺産
登録年 : 2016年
登録基準 : (vii) (viii)
遺産の面積 : 22780.15㎢
バッファ・ゾーン : 17941.34㎢
座標 :N30 12 58 E58 50 20

アクセス

イラン南東部のケルマーンなどからツアーに参加。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。