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スペイン建築に革命を与えたエレーラ様式の修道院と周辺施設
エル・エスコリアール修道院は、マドリードの北、シエラ・デ・グアダラマ山脈の麓にある非常に美しい場所に佇んでいます。修道院の他にも、王宮や神学校、王立図書館、施療院などを持つ複合施設であり、これらの建造物が11の主要な中庭と3つの修道士の中庭を中心に見事に構成されています。この修道院は、16世紀半ば、国王フェリペ2世が礼拝の都合を考え、王宮と修道院を合体させたことが始まりとされています。
聖ラウレンティウスゆかりの修道院と建築様式
1557年、キリスト教の聖人である聖ラウレンティウス(ロレンソ)が殉教したとされる8月10日に、スペイン軍はフランスとの戦いに勝利しました。フェリペ2世は、聖ラウレンティウスの加護と考え、鉄格子で火炙りにされて殉教した聖ラウレンティウスにちなんで、格子型の平面プランを持つ修道院を築きます。ミケランジェロの弟子フアン・バウティスタ・デ・トレドが設計し、トレドの死後、1584年にフアン・デ・エレーラが完成させました。彼の名前から「エレーラ様式」と呼ばれる装飾の少ない厳格な建築様式は、それまでの建築様式とは一線を画し、半世紀以上に渡ってスペイン建築に深い影響を与えました。
壮麗な内装をもつ芸術の宝庫
外観は装飾が少なく質素な一方、内部には非常に豊かで崇高な装飾が施されている部屋が存在し、エル・グレコやベラスケスなどの有名画家が描いたフレスコ画も展示されているなど、芸術の宝庫となっています。教会の主祭壇の背後には、大理石や絵画、金箔、銅像を組み合わせた高さ30mの構造物(レタブロ)が飾られています。また、王立図書館は約4万5,000冊の蔵書を誇り、丸天井には美しいフレスコ画が描かれています。地下のパンテオンは大理石で覆われた八角形の空間で、カルロス5世やフェリペ2世など代々のスペイン王家が眠ります。
アクセス
モンクロアバスターミナルからエスコリアールバスターミナルまで、バス(661番もしくは664番)で約1時間。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
アクセス
モンクロアバスターミナルからエスコリアールバスターミナルまで、バス(661番もしくは664番)で約1時間。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
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