マンモス・ケーブ国立公園
洞窟環境に適応して進化した、ユニークな生き物が多数生息する

遺産DATA

地域 : 北米 保有国 : アメリカ合衆国 所在地 : Counties of Barren, Edmonson, and Hart in the State of Kentucky 分類 : 自然遺産 登録年 : 1981年 登録基準 : (vii) (viii) (x) 遺産の面積 : 211.91㎢ 座標 : N37 11 14 W86 6 11

about

総延長500㎞を超える地底世界

アメリカ合衆国ケンタッキー州西部のカルスト台地の地下60~100mの深さには、調査が行われただけでも総延長約500kmに及ぶ、世界最大かつ最長の洞窟群が広がっています。この洞窟群は、石灰質の柔らかい地層に水が長い時間をかけて浸透し、約1億年をかけて形成されたものです。内部には、巨大な空間や、石筍と鍾乳石によって形作られた長い通路、美しい形状の石膏華や石膏針など、あらゆる洞窟生成物の特徴が見られます。現在も水の浸透作用によって洞窟は形成され続けており、最終的には地下河川が洞窟を抜けて地上に現れ、グリーン川に合流します。洞窟の外部には、陥没穴、亀裂、割れ目、地下河川や泉といった、典型的なカルスト地形の特徴が揃っており、極めて魅力的な景観を形成しています。

世界でここにしかいないケンタッキー洞窟エビ

洞窟内には130種以上の野生生物が確認されており、その種数は世界でも有数です。そのうち18種がアメリカ連邦政府の絶滅危惧種リストに登録されています。内訳は、グリーン川に生息する淡水産二枚貝類が14種、コウモリが3種、そして残る1種がケンタッキー洞窟エビです。ケンタッキー洞窟エビは、この地域の洞窟の最深部でしか確認されていない希少な固有種です。視覚器官である目を持たず、2対の触角を用いて味覚、触覚、嗅覚を働かせて周囲を把握し、地下環境に高度に適応しています。また、殻に色素がないため体は透明であり、発見が非常に困難です。体長は約3cm、寿命は約10~15年と推定されています。

アクセス

ナッシュビル国際空港からマンモス・ケーブ国立公園のビジターセンターまで、車で約1時間40分。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。

遺産DATA

地域 : 北米
所在地 : Counties of Barren, Edmonson, and Hart in the State of Kentucky
分類 : 自然遺産
登録年 : 1981年
登録基準 : (vii) (viii) (x)
遺産の面積 : 211.91㎢
座標 :N37 11 14 W86 6 11

アクセス

ナッシュビル国際空港からマンモス・ケーブ国立公園のビジターセンターまで、車で約1時間40分。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。