カルナックとモルビアン沿岸の巨石群
カルナックのメネック列石。長さは1km以上にもおよぶ

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : フランス共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2025年 登録基準 : (i) (iv) 遺産の面積 : 195.98㎢ バッファ・ゾーン : 980.29㎢ 座標 : N47 36 58 W3 5 14

about

ヨーロッパ最古級の巨石が多く密集する遺跡

フランスブルターニュ地方に位置する『カルナックとモルビアン沿岸の巨石群』は新石器時代に建設された巨石が数多く残る遺跡で、ヨーロッパにおける巨石文化の中でも最古級の遺跡とされています。遺跡内には巨石のみならず墓や膨大な数の岩絵も発見されています。巨石群が確認される時期は、ヨーロッパで人類が定住生活を送るようになった時期でもあり、ヨーロッパにおける人類史を理解する上でも非常に重要な遺跡です。

墓地と副葬品からみた交流

『カルナックとモルビアン沿岸の巨石群』の特徴は密集する巨石のみならず、墓地とその副葬品です。これらの巨石や墓、副葬品からはこの地域での葬祭儀礼や葬祭建築の進化を知ることができます。副葬品にはブルターニュ地方から遠い場所で産出される石が見つかっており他地域と交流があったことが分かっています。また遺跡近くは海が広がっており、水路や海路による交易ルートが確立されていたと考えられています。

遺跡をめぐる伝説と民間信仰

未だに謎の多い本遺跡には古くから様々な伝説や民間信仰によって巨石文化や巨石の起源の理解がなされてきました。その中には巨石群は3世紀に迫害を受けたローマ教皇であるコルネリウスが異教徒の兵士たちを石に変えたものという伝説があります。他にも裕福で気まぐれな若者が神によって石に変えられ、魂が石の周りを回ることを強いられているといった伝説や、ブルターニュ地方に存在するエルフに匹敵する伝説の生き物の信仰などが存在します。こうしたアプローチは考古学や科学的解明方法とは違いますが、過去の人々が巨石についてどのように理解しようとしていたのかを私たちに教えてくれます。

アクセス

Auray駅からカルナック行きのバスに乗車。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 2025年
登録基準 : (i) (iv)
遺産の面積 : 195.98㎢
バッファ・ゾーン : 980.29㎢
座標 :N47 36 58 W3 5 14

アクセス

Auray駅からカルナック行きのバスに乗車。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。