about
自然の力と信仰心が融合した場
メテオラとはギリシア語で「中空に浮く」という意味であり、ギリシア中部にあるメテオラでは、奇岩群が数多くあり、その上に修道院が立っているという、世界でも類を見ない景観が見られます。この奇岩群が形成されたのは今から6,000万年前に誕生したとされ、そこから長い年月をかけて川の水が谷を削り、硬い部分だけが残った結果、このような景観が生まれました。この景観を神の地と思ったのか、古くから人々が住み着いていました。9世紀頃から、現実世界から離れて、決して住みやすいとは言えないこの場所に修道院を築き、祈りを捧げるようになるのです。修道院群があたかも空中に浮いているように見えるから、この地はメテオラと言われました。最盛期には24の修道院があり、7つの修道院が世界遺産に登録されています。
より社会から隔絶された場を求めて
現世を捨てて、孤独に神への祈りに没頭する修道士のことを「隠修士」と呼びますが、彼らの多くは東方正教会であるため、このような修行法を実践していきます。東方正教会では社会との関係を断ちきり、孤独のうちに修行することを重んじることが良いとされていたので、彼らは荒野や洞窟に住み、祈りと瞑想に没頭するのです。今では、修道院までは階段が設置されていますが、当時は梯子で昇り降りしないとたどり着けないのが普通でした。奇岩の高さは20~400mなので、落ちて命を落とす人もいたそうです。このように隠修士たちが祈りを捧げてきたメテオラですが、現在は観光地化しているため、信仰生活を乱されることを嫌い、同じ世界遺産の聖山アトスへ移りこむ隠修士も増えている模様。複合遺産として登録されている本遺産ですが、観光と信者の関係性についても深く考えさせられる物件であります。
アクセス
【メガロ・メテオロン修道院】首都アテネから鉄道で5時間、「カランバカ駅」下車。そこからメガロ・メテオロン修道院までバスで15分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
Properties
メガロ・メテオロン修道院
The monastery of the transfiguration of the Savior
ヴァルラーム修道院
The monastery of Varlaam
アギア・トリアダ修道院
The monastery of the Holy Trinity
アギオス・ステファノス修道院
The monastery of Saint Stephan
アクセス
【メガロ・メテオロン修道院】首都アテネから鉄道で5時間、「カランバカ駅」下車。そこからメガロ・メテオロン修道院までバスで15分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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