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シルク・ロードのオアシス都市
莫高窟は、中国甘粛省敦煌市郊外にある仏教遺跡で、五胡十六国時代の前秦(351~394年)の4世紀半ばから元代の13世紀までのおよそ1,000年にわたって造営された、世界最大級の仏教石窟寺院です。鳴沙山の東側断崖面の南北1,700mには735の石窟があり、そのうち492の石窟が保存されています。敦煌の歴史は、前漢(前202~後8年)の武帝が辺境の軍事拠点として築いたことに始まり、シルク・ロードの中継地点として発展しました。莫高窟が掘り始められたのは、366年のことで、西方出身の仏僧・楽僔が築いたとされています。
古代中国の文明と交流を伝える「敦煌文書」
石窟の造営は13世紀まで続けられましたが、その後次第に存在を顧みられなくなりました。1900年に道士の王円籙が、莫高窟の壁の中から大量の古写本や仏画類を発見しました。ある石窟の通路の土砂を取り除いたとき、隣接する石窟から偶然見つかった史料は「敦煌文書」、発見場所の石窟(17窟)は「蔵経洞」と後に呼ばれるようになりました。敦煌文書には経典、文書、絹本の絵画、刺繍など5万点以上があり、そのうち6分の1をチベット語、サンスクリット語、ソグド語などの写本が占めています。その内容は、仏教、道教、儒教の経典のほか、史書、小説、民間信仰、戸籍、契約書など多岐にわたっていて、当日の生活や政治を知る史料として極めて高い価値を持ちます。
色鮮やかに彩られた石窟内部
石窟の内部には華やかな彩色壁画が施されており、その総面積は約4万5,000㎡にも及びます。また、2,000体以上の塑像の仏像が安置されていることから、莫高窟は「千仏洞」とも呼ばれています。隋代(581~618年)に完成したとみられる302窟には、シルク・ロードにおける文化交流の様子が描かれており、荷車を引くラクダの姿も確認出来ます。また、莫高窟にある窟檐のうち最大の九層楼には、莫高窟最大の約35mの仏像が納められています。なお、この世界遺産は文化遺産の登録基準(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)(ⅳ)(ⅴ)(ⅵ)のすべてが認められている数少ない例です。
アクセス
敦煌市内からバスまたはタクシー。
執筆協力者PROFILE
前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。
アクセス
敦煌市内からバスまたはタクシー。
執筆協力者PROFILE
前職(株)JTBにて約12年間、海外旅行のパッケージツアーの企画・造成に携わり、世界遺産も含めた観光地のプロモーションや送客に貢献。2021年より国土交通省 観光庁にて勤務、オーバーツーリズム対策や持続可能な観光地域づくりを担当し、現在に至る。世界遺産アカデミー客員研究員、(社)日本イコモス文化観光国内学術委員、(社)台湾世界遺産登録応援会アドバイザー。
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