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季節ごとに異なる姿を見せる名山
北朝鮮南部の江原道(カンウォンド)にそびえ立つ金剛山(クムガンサン)は、朝鮮半島の最高峰である白頭山と並ぶ名山として知られています。標高は約1,600mで、山岳部の「内金剛(ネグムガン)」と「外金剛(ウェグムガン)」、海岸部に位置する「海金剛(ヘグムガン)」に分けられます。金剛山は、氷河の浸食作用によって形成された鋭い峰や深い谷、奇岩などが織りなす複雑な地形が特徴です。また、自然環境も非常に多様で、標高や地形の違いによって様々な植生帯が形成されています。さらに山中を流れる多数の滝は、冬には凍結して幻想的な氷瀑となります。四季折々の気象条件によって変化する自然の美しさから、金剛山は北朝鮮屈指の景勝地となっています。
聖山として崇められてきた歴史
朝鮮半島には4世紀に仏教が伝来しましたが、金剛山では5世紀中頃から庵が結ばれ、7世紀にはいくつもの山岳寺院が建立されました。670年建立の表訓寺(ピョフンサ)は現存し、金剛山四大寺院の中で唯一残る歴史的建造物です。また、金剛山は文人墨客に愛され、朝鮮王朝時代には多くの詩人や官僚がこの地を訪れて、自然の美しさを讃える詩や絵画を残しました。岩には訪問者の名前や詩が刻まれ、金剛山の景観と人々の精神文化が深く結びついていることがうかがえます。朝鮮戦争(1950~1953年)では多くの寺院や仏塔、石彫刻が破壊されてしまいましたが、いくつかの建造物は現在も残っています。長きにわたり聖山として崇められてきた金剛山は、2025年に複合遺産として世界遺産に登録されました。
アクセス
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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