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秦の始皇帝が、この山の山頂で 「封禅」の儀式を再現
中国東部の山東省にそびえる標高1,535mの泰山は、世界遺産の登録基準(i)から(vii)までの全てを認められている唯一の世界遺産です。東岳の泰山、西岳の崋山(陝西省)、南岳の衡山(湖南省)、北岳の恒山(山西省)、中岳の嵩山(河南省)という中国五岳の筆頭であり、多くの人々の信仰を集める道教の聖地です。『史記』 によると紀元前219年、秦の始皇帝はこの山の山頂で天を、そして山麓で地を祀る 「封禅」という儀式を行いました。これは始皇帝以前に72人の王が行っていた儀式を再現したものであるとされます。前漢(前202~後8年)の7代皇帝の武帝はこの儀式を国家的な祭祀として採用し、清(1636~1912年)の康熙帝まで、歴代の皇帝がこの地で封禅を行いました。
岱廟から頂上まで、およそ7,000段の石段
霊山として崇められた泰山には多くの建物が建てられましたが、代表的なのは麓の岱廟で、皇帝たちが封禅の儀式を行った場所です。正殿の天睨殿は北京の故宮の太和殿、曲阜の孔廟の大成殿と並ぶ中国三大宮殿のひとつに数えられますが、何度も焼失しており、現存しているのは宋代のものです。岱廟から頂上までは約9km、およそ7,000段の石段が続き、登山道には800を超える祠廟が立ち並んでいます。宋代建立の碧霞祠は、東岳大帝の娘とされる碧霞元君を祀る廟です。泰山には多くの文人墨客も訪れ、紀元前11~前5世紀に編纂された中国最古の詩篇である『詩経』の「閟宮」には「泰山岩岩 魯邦所詹」(険しい泰山は魯の国から見ることができる)とあるなど、その景観は数々の文学作品に詠まれました。 また、赤松や黒松などの針葉樹をはじめ、1,136種もの植物が見られる自然豊かな場所でもあり、景観美に優れているとして、自然遺産の価値(登録基準(ⅶ))も認められています。
アクセス
泰安市からバスで約20分。
執筆協力者PROFILE
大阪府出身。大学卒業後電気機器メーカーに入社、2015年退職。在職時代世界遺産に興味を持ち、2010年世界遺産検定マイスター資格取得、以降世界遺産アカデミー認定講師として、大学、自治体、カルチャー教室等で世界遺産講座や世界遺産検定対策講座など多数実施中。
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執筆協力者PROFILE
大阪府出身。大学卒業後電気機器メーカーに入社、2015年退職。在職時代世界遺産に興味を持ち、2010年世界遺産検定マイスター資格取得、以降世界遺産アカデミー認定講師として、大学、自治体、カルチャー教室等で世界遺産講座や世界遺産検定対策講座など多数実施中。
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