カルメル山の人類の進化を示す遺跡群:ナハル・メアロット/ワディ・エル・ムガラ洞窟
タブーン洞窟。約50万年にわたる人類進化の変遷がここに凝縮されている

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : イスラエル国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2012年 登録基準 : (iii) (v) 遺産の面積 : 0.54㎢ バッファ・ゾーン : 3.7㎢ 座標 : N32 40 7 E34 58 5

about

50万年に及ぶ人類進化の文化的連続性

カルメル山脈西斜面にある本遺跡群は、タブーン、ジャマル、エル・ワド、スフールの4つの洞窟から構成されています。90年にわたる考古学的研究の結果、この54ヘクタールの敷地から、前期旧石器時代のアシュール文化から後期旧石器時代に至るまで、少なくとも50万年にも及ぶ人類の進化を示す文化堆積物が発見されました。これは世界でも類を見ない長期的な文化の連続性を示すもので、南西アジアにおける初期の人類の記録となっています。本遺跡は、人類進化全般、特にレバント地方の先史時代に関する極めて重要な遺跡となっています。

同一文化圏に共存したネアンデルタール人と現生人類

この遺跡群の最も特筆すべき点の一つは、中期旧石器時代にあたるムスティエ文化の中で、ネアンデルタール人と解剖学的現生人類(ホモ・サピエンス)の両方の存在が確認されたことです。他では見られないこの貴重な遺跡は、人類進化の過程、ネアンデルタール人の消滅と現生人類の出現に関する議論の決定的な証拠となっています。この洞窟群は、長期間にわたる発掘調査を通じて、人類、生物、行動、そして文化の起源に関する重要な記録として、その信憑性と価値を確固たるものとしています。

狩猟採集生活から定住農耕社会への移行

本遺跡群は、後期旧石器時代の重要なもののひとつであるナトゥーフ文化の中心地としても知られています。ナトゥーフ期(約15,000年から11,500年前)の層からは、集団埋葬の跡や初期の石造建築物が発見されており、これは人類の生活様式が、遊牧的な狩猟採集生活から農業と牧畜を基盤とする定住コミュニティへと移行した過程を具体的に示しています。洞窟とその周辺の段丘には、旧石器時代最後の狩猟採集社会と、新石器時代の農耕の始まりという転換期を示す、世界史的にも重要な痕跡を見ることができます。

アクセス

テルアビブからハイファ方面行きの列車で Haifa Hof HaCarmel駅で下車(約1時間)。駅からはバスで約35分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。

遺産DATA

保有国 : イスラエル国
分類 : 文化遺産
登録年 : 2012年
登録基準 : (iii) (v)
遺産の面積 : 0.54㎢
バッファ・ゾーン : 3.7㎢
座標 :N32 40 7 E34 58 5

アクセス

テルアビブからハイファ方面行きの列車で Haifa Hof HaCarmel駅で下車(約1時間)。駅からはバスで約35分。

執筆協力者PROFILE

NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

福島県出身。世界遺産や絶景、離島などを求め、国内に留まらず70カ国以上を旅するほどの旅好き。普段は上場企業の会社員として働きながらトラベルライターや小笠原諸島のアンバサダーなど、世界遺産や旅を軸に多岐にわたり活動を行っている。