ミケーネとティリンスの考古遺跡
ミケーネの城塞内にある円形墳墓

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ギリシャ共和国 所在地 : Prefecture of Argolis, Region of the Peloponnesos 分類 : 文化遺産 登録年 : 1999年 登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv) (vi) 座標 : N37 43 60 E22 45 0

about

伝説を事実に変えたシュリーマン

ホメロスの『イリアス』を史実と信じ、トルコのトロイア遺跡を発掘したシュリーマンは、あまりにも有名な考古学者です。彼はさらに、「黄金に富める国」と謳われたミケーネを求めて発掘を続けました。トロイア遺跡発掘から3年後の1876年、彼はついにミケーネの都市遺跡から円形墳墓や黄金のマスクなどを発見し、歓喜したのです。ミケーネを中心とするミケーネ文明は紀元前1600年から前1100年の間に地中海世界に広がった文明であり、クレタ文明と並ぶエーゲ文明の代表的な文明として知られています。戦士を社会の中枢に据えた武力社会だったとされ、海洋的と評されたクレタ文明とは真逆の社会だったようです。また、ミケーネの支配下にあったティリンスもシュリーマンにより発見され、同じく世界遺産に登録されています。

細工・建築技術に優れたことがわかる数々の出土物

シュリーマンの発掘により、数々の出土品が発見され、当時の歴史や建築技術の高さが判明しました。まず、黄金の副葬品は総重量14kg。特に円形墳墓から出土した「アガメムノンのマスク」は有名です。しかし、最近ではこのマスクの人物がアガメムノンかどうかは確証できないと言われています。アガメムノンとはギリシア神話の英雄であり、トロイア戦争におけるギリシア軍の総大将でもあり、ミケーネの王でもありました。悲劇作家アイスキュロスの『アガメムノン』でも有名であり、ミケーネでもっとも有名な人物でしょう。彼のマスクかどうかは不明ですが、ほかにもライオン形の黄金製リュトン(杯)や六角形の小箱、巨石を用いた獅子門などが発見され、当時の細工・建築技術の水準の高さがうかがえます。このようなミケーネ文明でしたが、紀元前12世紀頃に「海の民」の侵入により崩壊したと言われています。

アクセス

首都アテネからミケーネまで車で2時間。遺跡まではそこからさらに車で20分。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Prefecture of Argolis, Region of the Peloponnesos
分類 : 文化遺産
登録年 : 1999年
登録基準 : (i) (ii) (iii) (iv) (vi)
座標 :N37 43 60 E22 45 0

アクセス

首都アテネからミケーネまで車で2時間。遺跡まではそこからさらに車で20分。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。