about
要塞だけでなく文化の中心地としても栄えた都市
古代ギリシアのポリスであるスパルタから西へ約5kmの位置に、ミストラはあります。かつて「ビザンツ帝国最後の輝き」と言われたこの都市は、13世紀初頭の第4回十字軍の際、アカイア公国の君主によって築かれました。その後、ビザンツ帝国の皇帝ミハイル8世がこのミストラを手中におさめ、ミストラはビザンツ帝国軍総督の本拠地となりました。14世紀から15世紀にかけてはモレアス専制公領の都となり、専制公らは大きな政治力と軍事力を背景に富を蓄え、ミストラを要塞都市だけでなく、文化の中心地としても発展させようとしました。建築家や芸術家を集めて、古代ギリシアに倣ってアカデミアなどを建築しますが、1453年にビザンツ帝国が崩壊すると、ミストラは衰退の一途を辿りました。そして、19世紀には廃墟と化してしまったのです。

山の中腹に広がるミストラの3つの地域
ミストラの遺跡は、三つの地域にわけることができます。それは、難攻不落の要塞といわれた山城カストロ、専制公などの上流階級の宮殿などが残る「上の街」、そして聖堂や修道院が残る「下の街」となります。上下の街は二重の城壁で区切られています。注目すべきなのは、ビザンツ様式とゴシック様式が共存している点でしょう。「上の街」にある専制公宮殿にはゴシック様式の影響がうかがえる一方、「下の街」にあるアフェンディコ聖堂はビザンツ様式の模範となった建物であり、また、パンダナサ修道院はビザンツ様式とゴシック様式が融合した、中世で最も美しい教会と言われています。三つの地域でそれぞれ特徴的な建築物が残っているのは、世界遺産としても非常に興味深いものであるでしょう。

アクセス
首都アテネからスパルタまでバスで約4時間30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
アクセス
首都アテネからスパルタまでバスで約4時間30分。
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世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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