人権と自由、和解:ネルソン・マンデラの遺産
政府庁舎および大統領府として現在も機能するユニオンビル。1994年、ここで南アフリカ初の黒人大統領が誕生した

遺産DATA

地域 : アフリカ 保有国 : 南アフリカ共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2024年 登録基準 : (vi) 遺産の面積 : 0.4204㎢ バッファ・ゾーン : 3.0012㎢ 座標 : S25 44 26.49 E28 12 42.5

about

アパルトヘイトの悲劇を記憶する場所

『人権と自由、和解:ネルソン・マンデラの遺産群』は、南アフリカの故ネルソン・マンデラ元大統領にゆかりのある施設や、アパルトヘイト体制下での悲劇を記憶する場所など、14の遺産で構成されています。反アパルトヘイト運動の指導者であったマンデラは、国家反逆罪で終身刑の判決を受け、約27年にわたり獄中で過ごしました。アパルトヘイトの撤廃に人生を捧げ、白人と有色人種の和解に尽力したマンデラは、1993年にノーベル平和賞を受賞しています。1994年に実施された全人種による初の総選挙では、同国で黒人初の大統領となりました。

互いを思いやり助け合う「ウブントゥ」の精神

この遺産群は、具体的には、プレトリアにある政府庁舎「ユニオンビル」、デモ参加者に対し警察が発砲し69人が犠牲となった「シャープビル虐殺事件」の関連現場、かつて刑務所として利用されてマンデラも収監されていた「コンスティテューションヒル」、黒人を主な対象としマンデラも在籍していた「フォートヘア大学」などから構成されています。これらはいずれも、同国の解放闘争の軸となった出来事や思想を象徴するものです。アパルトヘイト政策が撤廃されてかなりの年月が経った今も、これらの遺産は人々に人権や自由や平等の大切さ、アフリカ大陸をアフリカ人の手で統合しようとする「汎アフリカ主義」、互いを思いやり助け合うことを大切だとする「ウブントゥ」の精神、などを想起させるものとなっています。

ネルソン・マンデラの像
ユニオンビルの前には高さ約9mのネルソン・マンデラの像が立つ(Ⓒcreedline/Adobe Stock)

アクセス

【ユニオンビル】ヨハネスブルグのO.R.タンボ国際空港からプレトリア市内まで車で約1時間。

執筆協力者PROFILE

石川 香澄
石川 香澄
記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。

遺産DATA

地域 : アフリカ
分類 : 文化遺産
登録年 : 2024年
登録基準 : (vi)
遺産の面積 : 0.4204㎢
バッファ・ゾーン : 3.0012㎢
座標 :S25 44 26.49 E28 12 42.5

アクセス

【ユニオンビル】ヨハネスブルグのO.R.タンボ国際空港からプレトリア市内まで車で約1時間。

執筆協力者PROFILE

石川 香澄
石川 香澄
記者(フリーランス)/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。