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日光に息づく信仰と芸術
『日光の社寺』は、栃木県の豊かな自然の中に位置する「二荒山神社」「東照宮」「輪王寺」の二社一寺と、それらに付随する103棟の建造物から構成されています。うち9棟が国宝、94棟が重要文化財に指定されており、17世紀を中心とする宗教建築と装飾美術の粋が凝縮されています。社寺群は山の斜面に巧みに配置され、自然景観との調和によって独自の美しさを実現しています。この場所は、長きにわたって信仰が守られてきた証であり、各社寺をめぐることで、信仰と芸術が融合した空間の奥深さを体感することができます。
日光のはじまりから将軍の眠る聖地へ
日光の宗教施設の起源は8世紀、僧の勝道上人による日光山の開山に始まります。江戸時代には徳川家康の霊廟として東照宮が造営され、幕府にとって精神的な支柱として位置づけられるとともに、政治的権威の象徴ともなりました。とりわけ権現造(ごんげんづくり)と呼ばれる建築様式は、東照宮と大猷院霊廟において最も洗練された形で表現され、後世の神社建築に大きな影響を与えました。また、日光山を神体山として祀る二荒山神社は、古来より自然崇拝と山岳信仰の重要な拠点として崇敬を集めてきました。一方、輪王寺は仏教の修験道と深く関わり、神仏習合の歴史を今に伝える存在です。社寺の配置や意匠には、人と自然のつながりを重んじる神道の思想が色濃く反映されており、日本人の自然観と宗教観、そして歴史的記憶を今に伝える場となっています。
アクセス
JR日光駅または東武日光駅から『日光の社寺』まで車やバスで約10分、徒歩では約30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
アクセス
JR日光駅または東武日光駅から『日光の社寺』まで車やバスで約10分、徒歩では約30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
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