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皇帝崇拝の対象となった神殿
長らく共和政を行なっていたローマは「内乱の1世紀」を経て、紀元前27年、皇帝が政治を行うローマ帝国となりました。その初代皇帝となったのがオクタウィアヌスであり、彼は貴族の会議である元老院から「アウグストゥス(尊厳者)」の称号をもらい、伝統的な共和政を維持しながらも実質的には専制政治を行う元首政を展開していきました。現在のニーム市にあるメゾン・カレはフランス語で「長方形の建物」を意味し、アウグストゥスの治世時に建てられたと言われています。そして、彼の養子であったガイウスとその弟であるルキウス・カエサルが若くして亡くなると、彼らを祀る神殿となり、さらにアウグストゥスの統治が神聖化されるとともに、この神殿は皇帝崇拝の神殿となりました。
保存状態が極めて良好なコリント式の神殿
当時のニーム市は、ローマの植民地であるネマウスであり、メゾン・カレはその広場に建てられました。保存状態は極めて良好であり、その理由としては、4世紀にこの神殿がキリスト教の教会に転用され、破壊を免れたことが挙げられます。17世紀以降の修復作業により元の姿を取り戻し、屋根などの一部を除きそのほとんどがオリジナルであるため、ローマ帝国の最初期の建築技術を如実に示す重要な例と言えます。また、神殿の柱はコリント式(柱頭のアカンサス(植物)の装飾が特徴の様式)であり、古代ギリシャの建築技術も継承されています。ローマ帝国になり、共和政から帝政とイデオロギーが変化したとともに、権力を象徴するような壮大な建築物が作られたのは歴史的にも重要です。俗に紀元前27年から五賢帝の治世終了までの約200年間はパクス・ロマーナ(「ローマの平和」の意味)と言われますが、そのパクス・ロマーナという黄金時代の始まりを知らせる象徴のような建物であるため、長らく市民からも大切にされてきました。
アクセス
首都パリからニームまで列車で約4時間30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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首都パリからニームまで列車で約4時間30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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