ノール=パ・ドゥ・カレの鉱山地帯
石炭採掘によって形成された大規模な産業景観。ぼた山は観光スポット

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : フランス共和国 所在地 : Nord-Pas de Calais Region, Nord and Pas-de-Calais Departments 分類 : 文化遺産 登録年 : 2012年 登録基準 : (ii) (iv) (vi) 遺産の面積 : 39.43㎢ バッファ・ゾーン : 188.04㎢ 座標 : N50 25 37.00 E2 49 44.00(ランス駅)

about

フランス北端部で垣間見えるかつての栄光

ヨーロッパ随一の農業国の印象があるフランスですが、工業の分野でも発展している地帯があります。フランス北端にある『ノール=パ・ドゥ・カレの鉱山地帯』はフランス屈指の工業地帯であり、1,200㎢の中になんと109もの構成資産が存在しています。カレ地方は百年戦争でイギリスに約200年近く占領されたことでも有名です。この地で石炭の層が発見されたのは17世紀。イギリスやベルギーが産業革命を迎え、19世紀半ばにフランスも産業革命を迎えると、この地域の石炭や鉄鉱石の重要度が急激に高まりました。1850年代にはフランスで最も重要な鉱山地帯となり、坑道や石炭輸出のインフラに加えて、労働者が暮らす住宅やコミュニティ施設も次々に作られていきました。現在は閉山しているものの、20世紀後半まで現役であったため、150年近くにわたって機能してきた炭鉱都市の姿を今でもうかがえるのが貴重です。

109もの構成資産の特徴

世界遺産に登録されている109の構成資産ですが、1850年代以降の採掘坑、140mを超える巨大なクレーン、鉄道の駅のほか、石炭の採掘に伴う坑道掘削によって生じた岩石廃棄物が集積してできた「ぼた山」までもが登録されています。これらの産業遺産も非常に価値が高いですが、この産業に従事する人々の暮らしを支えた住宅やコミュニティ施設も興味深いです。市庁舎、学校、病院などの労働者に欠かせない施設はもちろんのこと、精神的な拠り所である教会はロマネスク様式とモダニズムのアール・デコ様式で建設されています。また、ランス炭鉱会社のグラン・ビューローは王宮を彷彿させるような建物であり、見どころは非常に多いです。本遺産は、フランスの産業革命を支えたことを示す遺産であるとともに、当時の人々が大変な労働作業をしながらも、いきいきと生活していたことを伝える遺産であるとも言えるでしょう。

アクセス

首都パリからランスまでTGVで約45分。ランスから車で約30分。

執筆協力者PROFILE

京都橘大学・大阪成蹊大学講師/NPO世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Nord-Pas de Calais Region, Nord and Pas-de-Calais Departments
分類 : 文化遺産
登録年 : 2012年
登録基準 : (ii) (iv) (vi)
遺産の面積 : 39.43㎢
バッファ・ゾーン : 188.04㎢
座標 :N50 25 37.00 E2 49 44.00(ランス駅)

アクセス

首都パリからランスまでTGVで約45分。ランスから車で約30分。

執筆協力者PROFILE

京都橘大学・大阪成蹊大学講師/NPO世界遺産アカデミー認定講師/世界遺産検定マイスター

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。