about
乱開発を免れた手つかずの自然が息づく半島
アメリカ合衆国ワシントン州シアトル市の西方に突き出たオリンピック半島には、手つかずの自然が広がっており、多様な景観と生態系を観察することができます。半島は、太平洋の海岸線、オリンピック山脈、温帯雨林の3つの基本領域に大別されます。全長100kmに及ぶ太平洋の海岸線は、アメリカ本土において最も長い自然のまま残された海岸線であり、軟体動物、ウニ、ヒトデなどの宝庫です。オリンピック山脈は、標高約2,400mのオリンポス山を最高峰とする山岳地帯であり、ブルー氷河をはじめとする60以上の氷河が存在します。山脈と太平洋沿岸の間に位置する半島西部は、アメリカ本土で最も降水量が多い地域であり、北半球では珍しい温帯雨林地帯が広がっています。このように、半島には海岸線から温帯雨林、氷河に覆われた山岳地帯まで多様かつ複雑な生態系が形成されており、生物多様性に富むとともに固有種の割合も高いです。
保護と管理に向けた取り組み
オリンピック国立公園は、1938年に米国議会によって国立公園に指定され、3,730㎢を超える土地のうち95%以上が連邦政府の管理下に置かれ保護されています。この地で実施された大規模な生態系修復事業が「エルワ生態系修復プロジェクト」であり、64mのグラインズキャニオンダムと33mのエルワダムを撤去することで、斜面および河床の植生の回復と、エルワ川を遡上する魚類の回復を目指しています。また、1920年に導入されたシロイワヤギは、この地域の自然生態系に重大な影響を及ぼしている可能性があります。シロイワヤギが少なくとも3種の固有植物を捕食していることが確認されており、それによりこれらの植物が絶滅の危機に瀕しているとの懸念が指摘されています。今後、具体的な対策の実施が期待されます。
アクセス
シアトル・タコマ国際空港からオリンピック半島北部の町ポートアンジェルスまで車で約2時間30分。バスを利用する場合は約4時間30分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
アクセス
シアトル・タコマ国際空港からオリンピック半島北部の町ポートアンジェルスまで車で約2時間30分。バスを利用する場合は約4時間30分。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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