オルホン渓谷の文化的景観
モンゴルの遊牧民の暮らしと歴史を伝える文化的景観

遺産DATA

地域 : 東・東南アジア 保有国 : モンゴル国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2004年 登録基準 : (ii) (iii) (iv) 遺産の面積 : 1219.67㎢ バッファ・ゾーン : 610.44㎢ 座標 : N47 28 45.17 E102 40 42.5

about

遊牧文化がのこるステップ景観

オルホン渓谷はモンゴル中北部オルホン川の両岸に広がる雄大な牧草地です。広大な渓谷の範囲には6世紀にまで遡る考古遺跡が数多く残り、遊牧民とその社会の様子を現代に伝えています。この地は古くから東西交易の交差点であり、突厥やウイグルの拠点として発展しました。13~14世紀にはモンゴル帝国の首都として繁栄しました。また最古のモンゴル仏教寺院も残っており、モンゴル仏教の発展の舞台でもあります。

ソボルガン塔
モンゴル最古の寺院「エルデネ・ゾー寺院」の仏塔「ソボルガン塔」。モンゴル仏教の中心地のひとつ(ⒸPecold/Adobe Stock)

当時の様子が記録された碑文

オルホン渓谷は6~7世紀に突厥の支配下になり、テュルク語の碑文が残っています。テュルク語で記録されたツァイダム碑文には突厥の建国の様子が描かれています。渓谷に残された碑文にはこのほかにも突厥による国家征服や騎馬戦の方法が記録されています。8~9世紀にはウイグルがこの地に都を建設します。ウイグル王に捧げられた、ウイグル語や中国語、オルホン・エニセイ語の碑文が刻まれた彫刻が発見されています。

モンゴル帝国の首都カラコルム

1220年にチンギス・ハンによってこの地にモンゴル帝国の首都カラコルムが建設されました。それによってこの地は文化的な隆盛の絶頂期を迎えます。カラコルムには多くの多民族が暮らしており、なかにはペルシア人やフランス人、ドイツ人も暮らしていました。市の中心は中華風の地区や職人地区、北西部にゲル地区、北東部にイスラム地区が設けられていました。貿易は東西南北の4つの門で行われ、それぞれの方角で取引される商品が異なりました。

亀趺
中国から伝わったとみられる亀の形の土台「亀趺」は、日本にもみられるデザイン(ⒸPecold/Adobe Stock)

アクセス

ウランバートルから車またはバスで6~7時間。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。

遺産DATA

保有国 : モンゴル国
分類 : 文化遺産
登録年 : 2004年
登録基準 : (ii) (iii) (iv)
遺産の面積 : 1219.67㎢
バッファ・ゾーン : 610.44㎢
座標 :N47 28 45.17 E102 40 42.5

アクセス

ウランバートルから車またはバスで6~7時間。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。