パドレ・テンブレケ水利施設の水道橋
16世紀にフランシスコ会のテンプレケ神父の指導の下で建設が進められた。地元の先住民も建設に協力したという

遺産DATA

地域 : 北米 保有国 : メキシコ合衆国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2015年 登録基準 : (i) (ii) (iv) 遺産の面積 : 65.4㎢ バッファ・ゾーン : 348.2㎢ 座標 : N19 50 7 W98 39 45.2

about

技術の融合がみられる水道橋

パドレ・テンブレケ水利施設の水道橋は、メキシコ中央高原のメキシコ州からイダルゴ州にかけて約48kmにわたり延びる水道橋です。1555年から1572年にかけて建設されました。一段のアーチで築かれた水路としては最も高いものを組み合わせ建設されています。テペヤワルコにあるアーチ型の水道橋は水路の部分で40の高さがあり、アーチの部分でも34mの高さがあります。水利システムは古代ローマ時代の水利技術から受け継がれるヨーロッパ伝統の技術とアドベ(日干しレンガ)を用いた伝統的なメソアメリカの建築技術の交流を示す一例となっています。 

パドレ・テンブレケ水利施設の水道橋
メキシコ州とイダルゴ州にまたがる全長約48kmの水道橋(ⒸGuillermo Aparicio S/Adobe Stock)

水道橋建設を進めた修道士

パドレ・テンブレケ水利施設の水道橋」はフランシスコ会の修道士フランシスコ・デ・テンブレケが地元の先住民の協力を得て建設進められました。「パドレ・テンブレケ」とは「テンブレケ神父」という意味です。フランシスコ・デ・テンブレケの生涯については不明な点が多いです。彼はスペインのトレド郊外のテンブレケ町の出身で、1540年頃にフアン・デ・テンブレケ神父とともにヌエバ・エスパーニャに移住したといわれています。彼の生涯についてはいくつかの説がありますが、生没年等の詳細な情報は未だにわかっていません。 

日干しレンガ:アドベ

アドベは1718世紀に特に西テキサスで建築材料として広く使用されました。入手しやすく、安価な材料で、製造が安易という特徴があります。この地域ではスペイン入植以前から日干しレンガが使用されてきました。日干しレンガは断熱性が高く昼は太陽光を吸収し、夜は熱を放射するため、乾燥した気候のこの土地では最適な材料であったと考えられます。 

アクセス

メキシコシティから連邦高速道路を利用。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。

遺産DATA

地域 : 北米
分類 : 文化遺産
登録年 : 2015年
登録基準 : (i) (ii) (iv)
遺産の面積 : 65.4㎢
バッファ・ゾーン : 348.2㎢
座標 :N19 50 7 W98 39 45.2

アクセス

メキシコシティから連邦高速道路を利用。

執筆協力者PROFILE

角濱 さくら
角濱 さくら
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師/大学生

筑波大学人文・文化学群人文学類在学。2021年度「世界遺産✕SDGsチャレンジ!」小論文部門、2022年度「世界遺産✕SDGs教員養成プログラム」で最優秀賞。現在は中央アジアを中心とする無形文化遺産の保護や活用について関心がある。