国家収入の半分の金額で購入された聖遺物
13世紀にフランス国王ルイ9世がビザンツ帝国皇帝から聖遺物であるキリストの「茨の冠」など22点を購入し、それらを納めるために建設されました。その時の購入金額は王国の収入の約半分もしたと伝わります。サント・シャペルを設計したのが誰なのかはわかっていませんが、シテ島にある王の邸宅の中に位置する礼拝堂として使われ、2階部分の豪華な礼拝堂は王の居室と直接つながっていました。フランス革命の混乱の中で多くの聖遺物は失われましたが、「茨の冠」は難を逃れ、現在はノートル・ダム大聖堂に納められています。
観る者を圧倒する15枚のステンドグラス
サント・シャペルは上下の2層に分かれており、2階部分は国王や貴賓のための礼拝堂でした。窓には13世紀につくられた15枚の華やかなステンドグラスと、15世紀につくられた見事なバラ窓がはめられました。そこには1,113の場面で聖遺物がパリに到着するまでの聖書に基づく物語が描かれており、3分の2は当時のままの姿で残されています。フランス革命の際には一部が破壊され、窓は壁でふさがれて小麦粉倉庫として使われており、ステンドグラスの一部はバラバラにされて美術品市場に売られるなどひどい状態でした。19世紀になり、ようやくヴィクトル・ユゴーたちの尽力によって保護と修復が行われました。
執筆協力者PROFILE
北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。
執筆協力者PROFILE
北海道大学大学院博士後期課程を満期単位取得退学。仏グルノーブル第Ⅱ大学留学。2008年より現職。世界遺産に関するさまざまな書籍の編集・執筆・監修を手掛けるほか、「チコちゃんに叱られる!」(NHK)などの多くのメディア出演や、全国各地で100本を超す講演・講座を実施している。著書に『13歳からの世界遺産』(マイナビ出版)、『世界遺産のひみつ』(イースト・プレス)など。