パトモス島にある歴史地区(ホラ):神学者聖ヨハネの修道院と黙示録の洞窟
11世紀に築かれた聖ヨハネ修道院。ギリシャ正教の学びと巡礼の地

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : ギリシャ共和国 所在地 : Prefecture of Dodecanese, Region of the South Aegean 分類 : 文化遺産 登録年 : 1999年 登録基準 : (iii) (iv) (vi) 座標 : N37 17 60 E26 33 0

about

キリスト教史上極めて重要な島

エーゲ海東部のドデカネス諸島にあるパトモス島は、神学者聖ヨハネが「福音書」と『新約聖書』の「黙示録」の両方を書いたと伝えられる、キリスト教史上非常に重要な場所です。聖ヨハネとはイエスの十二使徒の1人で、イエスに最も愛された弟子のひとりでした。西暦95年、ドミティアヌス帝によってパトモス島に流刑となった聖ヨハネは、この地で「黙示録」などを書き、弟子プロクロスに口述したとされています。7世紀にはイスラーム教徒の襲撃を受けて一度は無人島となったものの、11世紀にビザンツ帝国のアレクシオス1世がパトモス島を植民地にしてからは、この地はギリシャ正教の学びと巡礼の地となりました。最初の修道院である「神学者聖ヨハネ修道院」は、1088年に修道士ホシオス・クリストドゥロス・ラトリーノスによって建てられました。

修道院を中心に成立した街「ホラ」

神学者聖ヨハネ修道院は、900年以上の長い歴史の中で増築が繰り返され、要塞のような外観と歴史的な宗教建造物が併存する、非常にユニークな建造物です。クリストドゥロスが修道院の図書館に1,000冊以上の写本と約2,000冊の蔵書を収蔵したことから、この修道院は長らく神学研究の中心ともなりました。また、13世紀頃から修道院の周囲には、既婚の修道士や修道院関係者が定住する「ホラ」と呼ばれる集落が形成されていきました。今でも特徴的な白い建物が密集する街並みは16世紀頃に起源をもつとされ、オスマン帝国の支配下においても、貿易の中心地として発展していきました。

アクセス

首都アテネのピレアス港から船で約7時間。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

遺産DATA

所在地 : Prefecture of Dodecanese, Region of the South Aegean
分類 : 文化遺産
登録年 : 1999年
登録基準 : (iii) (iv) (vi)
座標 :N37 17 60 E26 33 0

アクセス

首都アテネのピレアス港から船で約7時間。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。