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自然と調和したローマ建築技術の傑作
フランス南部オクシタニー地域に位置する「ポン・デュ・ガール」は、紀元前19年頃に古代ローマの政治家アグリッパが建設を命じた水道橋です。古代ローマの植民都市ネマウスス(現在のニーム)に水を供給するために1世紀中頃に建設された全長約50kmの水道の一部で、ユゼス近郊のウールの泉から水を運ぶ役割を果たしていました。水道橋は三層構造となっており、最上部までの高さは49m、水路部分の長さは下層から142.35m、242.55m、275mと上層になるほど長くなっています。岩盤の上に築かれた水道橋は、地形と調和しながら力強いラインを描いており、ローマ建築技術の偉業であると同時に、風景を一変させる芸術作品でもあります。
高度な技術が見られる水道橋
三層のアーチはそれぞれ寸法が異なります。最下段のアーチは6、中段は11あり、最上段にはかつて47のアーチが架かっていましたが、現在の数は35となっています。各層でアーチの寸法も異なっており、ガルドン川の急激な増水に対応できるよう設計されています。最下段の真ん中のアーチは両端のものよりも幅が広くなっていて、水の流れをスムーズにする工夫がされています。また、中段と下段には重さが6トンにも及ぶ巨石が使われており、上段には小さな石材が用いられました。石の表面には、採石工や石工の道具の跡や、組み立て時の位置を示す数字や文字の刻印が現在も残っています。設計の難しさに対して、施工の精度は完璧で、ポン・デュ・ガールは16世紀以降、ローマ文明の偉大な成果のひとつとして称えられています。
アクセス
成田・羽田・関空などからパリ・シャルル・ド・ゴール空港へ直行便、またはマルセイユ空港経由で移動。パリからニームまたはアヴィニョンまで、パリ・リヨン駅からTGV(高速鉄道)を利用。バスに乗り換え、ニーム駅から約40分、またはアヴィニョン駅から約50分で最寄りの停留所へ。そこから徒歩約15分で到着。バスの本数が少ないので注意。
執筆協力者PROFILE
民間企業勤務のサラリーマン。趣味は世界遺産と言語。「リラの僧侶」の名で世界遺産ポッドキャスト「ニュースで読み解く世界遺産」のラジオパーソナリティーを担当。好きな世界遺産はリラの修道院。
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成田・羽田・関空などからパリ・シャルル・ド・ゴール空港へ直行便、またはマルセイユ空港経由で移動。パリからニームまたはアヴィニョンまで、パリ・リヨン駅からTGV(高速鉄道)を利用。バスに乗り換え、ニーム駅から約40分、またはアヴィニョン駅から約50分で最寄りの停留所へ。そこから徒歩約15分で到着。バスの本数が少ないので注意。
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民間企業勤務のサラリーマン。趣味は世界遺産と言語。「リラの僧侶」の名で世界遺産ポッドキャスト「ニュースで読み解く世界遺産」のラジオパーソナリティーを担当。好きな世界遺産はリラの修道院。
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