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自然と共存してきたイタリアのリヴィエラ
広くはリヴィエラと呼ばれた地域のうち、イタリアのジェノヴァを挟んで西側の一帯は、フランスのニースまで続く国際リゾート地帯となっています。一方、東側に当たるイタリア半島北西部のリグリア海の海岸線一帯は未開発なままで1,000年にわたり自然と共存共栄を図ってきた街並を残しています。ここでは現在も、ブドウ栽培や漁業などでの伝統的な生活を送る人々が暮らしています。
詩人バイロンが愛した「ヴィーナスの港」
ポルトヴェーネレは、イタリア語で「ヴィーナスの港」を意味します。ここはジェノヴァの築いた出城があった城塞の街で、岬や入り江などが入り組んだ海岸線上の切り立った崖に吸いつくように集落が築かれていきました。船乗りが沖合から見たときに、自分の家が見分けられるように、色とりどりに塗られた家々が並んでいる光景が見られます。高台には、サン・ロレンツォ教会が12世紀後期に建てられました。ポルトヴェーネレは、イギリスのロマン派の詩人ジョージ・ゴードン・バイロンが愛した地でもあります。また、この街の沖合に浮かぶパルマリア島、ティーノ島、ティネット島の3島も併せて世界遺産に登録されていて、各所に古い修道院の遺構が残っています。
険しい崖に連なる「5つの村」の景観
ポルトヴェーネレの北西にチンクエ・テッレの街があります。チンクエ・テッレはイタリア語で「5つの村」を意味し、モンテロッソ・アル・マーレ、ヴェルナッツァ、コルニリア、リオマッジョーレ、マナローラという村々が、20㎞の距離の間でほぼ等間隔に並んでいます。ここでは11~12世紀にかけて、厳しい地形に合わせて、岩の上に住居をつくり、曲がりくねった道を通して集落群がつくられていきました。村落間の往来は、20世紀までは船だけが頼りでした。住民たちは階段状の土地でブドウやオリーブを栽培し、ブドウからつくる琥珀色のワインが名産品となりました。また、漁業では、ムール貝などの海の幸にも恵まれています。
アクセス
チンクエ・テッレへは、ジェノヴァから列車で約1時間半。トスカーナ方面から来る場合は、ピサから約1時間半。5つの村を結んで運航する船がある。ポルトヴェーネレへは、ラ・スぺツィアからバスで40分。
執筆協力者PROFILE
米国総合化学会社の日本法人にて海外人事部門などで40年間勤務した後、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻の博士課程を修了。博士(世界遺産学)。日本造園学会会員。日本シルク学会会員。元大東文化大学国際関係学部非常勤講師。
アクセス
チンクエ・テッレへは、ジェノヴァから列車で約1時間半。トスカーナ方面から来る場合は、ピサから約1時間半。5つの村を結んで運航する船がある。ポルトヴェーネレへは、ラ・スぺツィアからバスで40分。
執筆協力者PROFILE
米国総合化学会社の日本法人にて海外人事部門などで40年間勤務した後、筑波大学大学院人間総合科学研究科世界文化遺産学専攻の博士課程を修了。博士(世界遺産学)。日本造園学会会員。日本シルク学会会員。元大東文化大学国際関係学部非常勤講師。
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