about
1万年以上にわたり交易路として利用されてきた渓谷
アルゼンチン北西端、アンデス山脈上に位置する「ケブラーダ・デ・ウマウアカ」は、グランデ川の浸食作用によって形成された、南北に約155kmにわたる渓谷です。アンデス高地の寒冷な高地砂漠高原から、温暖で湿潤な気候をもつフフイ渓谷まで広がるこの地には、1万年以上にわたり交易路として渓谷が利用されてきたことを示す遺跡が点在しています。これらの遺跡には、先史時代の狩猟採集民および初期農耕社会(紀元前9000〜後400年)、大規模に組織化された農業社会(400〜900年)、繁栄した町や村(900〜1430年または1480年)、インカ帝国時代(1430年または1480〜1535年)、さらにはスペインによる町や村、教会(1535〜1810年)、アルゼンチン独立闘争(1810年〜20世紀)の痕跡が含まれています。
プカラと呼ばれる要塞集落
特に注目すべき遺跡は、コクタカに位置する石造りの段々畑の広大な遺跡です。これらはおよそ1,500年前に始まったとされ、現在も使用されています。これらの遺構は、「プカラ」と呼ばれる一連の要塞化された町と関係しており、畑とプカラが一体となって南米の他地域には見られないほど劇的な景観を形成しています。渓谷内には数多くの教会や礼拝堂が残されており、活気ある伝統的建築様式を今に伝えています。1万年にわたる交易の歴史の中で、キリスト教とキリスト教以前の民間信仰が融合した口承伝統、ケチュア語の言語構造を反映したスペイン語、地元の楽器とスペインのギターが融合した音楽など、文化的交流の痕跡が随所に見られます。
アクセス
アルゼンチンのブエノスアイレスから、見学の拠点となるフフイ市のフフイ・オラシオ・グスマン国際空港まで、国内線を利用。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
アクセス
アルゼンチンのブエノスアイレスから、見学の拠点となるフフイ市のフフイ・オラシオ・グスマン国際空港まで、国内線を利用。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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