ラジャスタンの丘陵城塞群
山の上に立つクンバルガル城塞。何kmにも及ぶ城壁が特徴的

遺産DATA

地域 : 西・南アジア 保有国 : インド 分類 : 文化遺産 登録年 : 2013年 登録基準 : (ii) (iii) 遺産の面積 : 7.36㎢ バッファ・ゾーン : 34.6㎢ 座標 : N24 52 60 E74 38 46

about

数百年間にわたる各王国の政治・文化・宗教の中心

インド西部のラジャスタン地方には長い歴史を持つラージプート族の諸王国が築いた城塞が残っています。ムガル帝国がこの地を支配するようになるまで、また支配されてからも数百年間にわたり各王国の政治・文化・宗教の中心となった城塞です。それぞれの城塞は長い城壁に囲まれ、その内には宮殿のほかこの地方の様式をベースにした精緻な装飾を施した建造物が並びます。また一部にはムガル帝国がもたらしたイスラム様式の影響も散見され「ラージプート=ムガル様式」とも呼ばれます。

チットルガル城塞:イスラムやムガル帝国との攻防の城

岩山の上に築かれ城壁に囲まれた堅牢な城塞で、かつてメーワール王国の首都でした。15世紀の王が改築した宮殿跡や勝利の塔、名誉の塔といった建造物のほかジャイナ教やヒンドゥー教寺院などが残っています。また、高度な水利技術により造られ人々の暮らしを支え続けた貯水池があります。チットルガルは首都だったがゆえに度々敵対勢力の攻撃にさらされ、14世紀から16世紀にはイスラム勢力による激しい攻囲を受け、最後は16世紀にムガル帝国のアクバル大帝に攻められて陥落しました。落城の際、城内に残った女性たちは自害(ジョウハル)し、それを見届けた戦士たちは最後の戦いにうって出て全員戦死したと伝わっています。

アンベール城塞:「ラージプート=ムガル宮廷様式」 の盛期を代表する建築物群

アンベール王国の首都だった16世紀に建設が始まりました。その後100年以上に及ぶ改築が施され、鏡の装飾が美しい「鏡の間」や幾何学模様の庭園が残っています。ムガル帝国傘下の時代におけるイスラム建築の影響も見られます。ガネーシャ門は「世界で最も美しい門」という評価もあります。これらは「ラージプート=ムガル宮廷様式」 の盛期を代表する建築物群です。丘のふもとから城塞までゾウの背中に揺られて登っていくこともできます(「ゾウのタクシー」と言います)。

アクセス

チットルガル城塞からウダイプルまで、バスで片道2時間半〜3時間。 アンベール城塞へはジャイプールからバスを利用

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。

遺産DATA

保有国 : インド
分類 : 文化遺産
登録年 : 2013年
登録基準 : (ii) (iii)
遺産の面積 : 7.36㎢
バッファ・ゾーン : 34.6㎢
座標 :N24 52 60 E74 38 46

アクセス

チットルガル城塞からウダイプルまで、バスで片道2時間半〜3時間。 アンベール城塞へはジャイプールからバスを利用

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。