リオ・アビセオ国立公園

アンデス熱帯雨林の固有種を保護する自然の驚異

リオ・アビセオ国立公園は、ペルー北中部の熱帯アンデス山脈東斜面に位置し、文化と自然の両方の価値が認められた複合遺産です。公園内には、多数の固有種が生息しており、動物相と植物相の驚くべき多様性が見られ、かつて絶滅したと考えられていたヘンディーウーリーモンキーは、この地域にのみ生息しています。また、この森林地域は更新世の避難場所の一部と考えられており、過去の氷河期に動植物が生存し、進化を遂げた場所であると考えられています。

紀元前6000年に遡る人類居住の考古学的証拠

公園内とその周辺の15万ヘクタール以上には、約8千年にわたる人類の歴史を示す並外れた考古学的価値を秘めています。1985年以降の調査で、36か所の未発見の考古学遺跡が記録されており、それらは標高2,500mから4,000mの範囲に及びます。これらの遺跡は、紀元前6000年頃の先土器時代からヨーロッパ植民地化直前まで、相当規模の人類居住があったことを示しており、インカ以前の社会の姿をよく理解することができます。

手つかずの自然と一体化した多様な考古学遺跡群

この遺産は、熱帯アンデスの人里離れた地域に位置し、手つかずの自然が残る河川流域にあります。約350mから4,349mの標高差に伴い、多様な森林タイプとアンデス高地のパラモ草原など、極めて多様な生態系と生息地を擁しています。深い森、峡谷、高地という景観美の中に、岩陰遺跡、住居、儀式用の建造物、貯蔵庫、農業用段々畑、埋葬地など、数多くの考古学遺跡が調和して融合しています。これらは、紀元前6,000年から16世紀半ばまで続いた、高地雲霧林における先史時代の人類の適応と進化の優れた例となっています。