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優れた石造技術を示す按司(あじ)が築いたグスク
沖縄や奄美の島々で見られる石造りの城塞のことを「グスク」と呼びます。グスクは、農村集落が営まれるようになった12世紀ごろから、按司と呼ばれる領主的な豪族が、自らの居住や防衛の拠点として築くようになりました。首里城(しゅりじょう)跡は、琉球王国の国王の居城として、政治・文化・経済の中枢となった城の遺構です。今帰仁城(なきじんじょう)跡は、14世紀の三山時代に北山王の拠点となったグスクの遺跡です。座喜味城(ざきみじょう)跡は、有力な按司であった護佐丸(ごさまる)によって15世紀に築かれた城跡です。勝蓮城(かつれんじょう)跡は、12世紀から13世紀にかけて建造された、現存する最古の沖縄のグスクで、有力按司の阿麻和利(あまわり)の居城でした。中城城(なかぐすくじょう)跡は、15世紀半ばに護佐丸が居城とし、阿麻和利との戦いで知られ、城壁には高度な石積み技術が見られます。

地域住民の精神的な拠り所であったグスク
グスクは、地域住民にとって先祖への崇拝や祈願を通じて相互のつながりを確かめる、精神的な拠り所でもありました。現在、4つの関連遺産が世界遺産として登録されています。園比屋武御嶽石門(そのひゃんうたきいしもん)は、1519年に築かれた石造の門で、首里城内に位置します。門の背後に広がる樹林地が、園比屋武御嶽という聖域になっています。同じく首里城内にある玉陵(たまうどぅん)は、1501年頃に築かれた陵墓で、琉球特有の「破風墓」と呼ばれる形式を持ちます。識名園(しきなえん)は、王族の別邸の庭園として1799年に建設されたもので、日本・中国・琉球の庭園様式を折衷した遺構です。斎場御嶽(せいふぁうたき)は、琉球王家の重要な儀式が行われた場所であり、現在でも沖縄で最も重要な聖地のひとつとされています。

12世紀から17世紀にかけて500年間に及ぶ琉球の歴史
12世紀ごろ、琉球各地の農村集落に按司が現れ、グスクが築かれ始めました。やがて各集落は小国家へと発展していきます。14世紀に入ると、各地の小国家が有力な按司によって統合され、3つの国が誕生しました。それが沖縄本島南部の南山、中部の中山、北部の北山です。この3国が争った時代は「三山時代」と呼ばれています。1429年には、中山を率いた尚巴志(しょうはし)が琉球王朝を樹立し、統一王国が成立しました。これを「第一尚氏王統」といいます。1469年に起きたクーデターにより「第二尚氏王統」が始まり、奄美諸島から先島諸島までを支配下に置いたこの時代が、琉球王国の全盛期となりました。17世紀に入ると、現在の鹿児島県西部に位置する薩摩地方を統治していた島津氏が琉球に侵攻し、琉球王国は薩摩藩および江戸幕府の間接的支配を受けながら、中国の明・清王朝との朝貢貿易を続けました。しかし、1872年に日本政府が琉球王国を「琉球藩」としたことにより、その独立性は大きく損なわれ、1879年には琉球藩が廃止され沖縄県が設置されました。これにより琉球王国は、事実上消滅することとなりました。
アクセス
【首里城】那覇空港駅から、ゆいレール(モノレール)で首里駅まで約27分。首里駅で下車後、徒歩で15分ほどで守礼門に到着。また、首里駅からは路線バス(首里城下町線8番)も出ており、首里城前バス停で下車すれば、徒歩3分ほどで守礼門に到着する。那覇空港から車やタクシーを利用した場合は、首里城公園まで約40分~1時間かかる。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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【首里城】那覇空港駅から、ゆいレール(モノレール)で首里駅まで約27分。首里駅で下車後、徒歩で15分ほどで守礼門に到着。また、首里駅からは路線バス(首里城下町線8番)も出ており、首里城前バス停で下車すれば、徒歩3分ほどで守礼門に到着する。那覇空港から車やタクシーを利用した場合は、首里城公園まで約40分~1時間かかる。
執筆協力者PROFILE
國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。
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