見どころDATA
古い建物を取り壊して、新たな建築に熱中した大司教
ザルツブルクは798年に大司教座が置かれて以来、カトリック文化の一大拠点として繁栄を極めました。ザルツァハ川の左岸、旧市街の中心に建つザルツブルク大司教宮殿(レジデンツ)は、まさにその権力の象徴であり、何世紀にもわたり歴代大司教たちの政治の拠点、そして住居として機能してきました。ここを現在見られるような豪奢な姿へと生まれ変わらせる礎を築いたのが、1587年に大司教に選ばれたヴォルフ・ディートリヒ・フォン・ライテナウです。彼は25年間にわたる在位期間中、古い建物を次々と取り壊し、イタリア・ローマに比肩するような宮殿や教会、修道院を築くことに心血を注ぎました。この都市改造を支えた巨額の建造費は、かつて「白い黄金」と呼ばれた岩塩の交易でまかなわれていたのです。
天井画に秘められた大司教の政治的暗示
180もの部屋を擁するザルツブルク大司教宮殿で、大司教の揺るぎない権威が最も色濃く表現されているのが「謁見の間」です。この広間の天井には、ヨハン・ミヒャエル・ロットマイヤーによるアレキサンダー大王をモチーフにしたフレスコ画が描かれています。これは、絶大なる力をもっていた大司教が自らをアレキサンダー大王になぞらえたものであり、拝謁する者に畏怖の念を抱かせる政治的な暗示でもありました。また、羊毛や絹、金銀糸で織られたタペストリーや、1775年に購入されたルイ16世様式の貴重な椅子のセット、ボヘミアガラス製のシャンデリアなど、室内を彩る豪華な調度品の数々は、大司教の威信を誇示する手段であったことを物語っています。
執筆協力者PROFILE
北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。
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執筆協力者PROFILE
北海道出身。高校時代にAFSでタイ王国へ交換留学。その後、同志社大学へ進学し、卒業後は専門紙記者として10年働いたのち、一般メディアで編集および取材活動に従事。世界遺産検定マイスター。特に好きな分野は、一神教などの宗教・信仰関連遺産。趣味は華道。