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9世紀のイスラム王朝の首都でイスラム教シーア派の聖地
イラクの首都バグダードの北西約130km、ティグリス川沿いに位置する『古代都市サーマッラー』は、9世紀にイスラム王朝のアッバース朝の首都として栄えた都市の遺跡です。当時アッバース朝は中央アジアから北アフリカまでを支配し隆盛を誇っていました。サーマッラーは、当時の都市遺跡としては現在唯一原形を残しているもので、都市計画の平面プランや数々の特徴的な建築物、彫刻やモザイクなどが残っています。また、イスラム教シーア派の聖地ともなっています。
大モスクとマルウィーヤ(螺旋状)のミナレット
現存する代表的な建築物としては、第10代カリフのムタワッキルの治世に建てられたアル・ムタワッキルのモスク(サーマッラーの大モスク)があります。264m×159mの面積をもち、849〜852年頃に建設された当時は世界最大のモスクでした。そのモスクに付随する高さ54mのミナレットは「マルウィーヤ」(アラビア語で「螺旋状」の意)と呼ばれ、その名の通り螺旋形の外観が特徴です。日干しレンガでつくられており、外壁の螺旋階段を登って最上部まで上ることができます。古代都市の北側に位置するアブー・ドゥラフ・モスクは、大モスクよりも小規模なものの、螺旋状の塔を含め大モスクとよく似た構造をもっています。
世界遺産登録と同時に危機遺産にも指定
サーマッラーには大モスクやアブー・ドゥラフ・モスク以外に、ティグリス川を見下ろす位置に建てられた、アラブ・イスラム世界最大規模のカリフの宮殿など他にも多くの建造物・遺跡があります。しかし、全体ではまだその80%が未発掘・未調査となっています。2003年のイラク戦争後、一帯は多国籍軍の占領下に置かれ、軍事作戦の舞台となりました。2007年には世界遺産に登録されましたが、イラクの情勢を受け、それと同時に「危機にさらされている遺産(危機遺産)」にも指定されました。
アクセス
イラクの首都バグダードから北西へ約80km、鉄道またはバスで世界遺産のある「旧市街」へ。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
アクセス
イラクの首都バグダードから北西へ約80km、鉄道またはバスで世界遺産のある「旧市街」へ。
執筆協力者PROFILE
早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。
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