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1,000年の間に4度建築されたヘラ神殿
エーゲ海南東部、アナトリアに近い場所に浮かぶサモス島は、全能の神ゼウスの正妻であるヘラの生誕地とされており、神話上極めて重要な島です。島がポリュクラテスという僭主(独裁者)によって支配されていた紀元前6世紀頃までに、サモス島は東地中海の主な航行拠点となりました。「ヘラ神殿(ヘライオン)」の起源は、前750年頃に建築された小規模な神殿で、前670年頃の水害で崩壊しました。その後すぐに再建された神殿は、正面に二重の列柱をもつ最初の神殿でした。前570年頃には2倍の面積をもち、100本以上の柱で支えられたイオニア式の神殿が建築されるのですが、今度は戦火により崩壊してしまいます。そこでポリュクラテスが命を出し、パルテノン神殿をも凌ぐ、幅55.16m、奥行き108.63mの巨大な神殿を建てようとしました。しかし、250年にもわたる工事を施したにもかかわらず、結局完成することはなく、3世紀のゲルマン人の侵入により破壊されてしまいました。
さまざまな碩学を生み出した島
ヘラ神殿は幾度も再建されましたが、最終的にゲルマン人に破壊されたため、現在は1本の石柱しか残っていません。この島のかつての栄光を表す遺跡としては、紀元前6世紀に技師エウパリノスが造ったとされる全長1,036mの地下水道跡などが有名で、サモス島の港町ピタゴリオンに残っています。ピタゴリオンは、大数学者ピタゴラスの生誕地で、彼の名前に由来します。元々はティガニという名称でしたが、1955年に現在の都市名に変更されました。その他にも哲学者エピクロス、太陽中心説(地動説)を唱えたアリスタルコスのゆかりの地となっており、ヘレニズム時代、ローマ時代を通じて文化的にも商業的にも栄えていたことがわかります。
アクセス
首都アテネから飛行機でサモス島へ約1時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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首都アテネから飛行機でサモス島へ約1時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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