サン・マリノの歴史地区とティタノ山
サン・マリノ共和国のシンボルでもある、ティタノ山の切り立った峰に立つグアイタ塔

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : サン・マリノ共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 2008年 登録基準 : (iii) 遺産の面積 : 0.55㎢ バッファ・ゾーン : 1.67㎢ 座標 : N43 55 58 E12 27 7

about

ヨーロッパにおける民主主義モデルの発展を示す貴重な遺産

サン・マリノ共和国は、世界最古の共和国のひとつであり、イタリアにおいて唯一現存する都市国家です。世界遺産の登録範囲は、13世紀に共和国が都市国家として成立した時代にさかのぼるティタノ山および市の歴史地区を含む0.55㎢です。中世のイタリアでは、コムーネと呼ばれる有力な自治都市が周辺の農村地域を支配し、領域都市国家として分裂していました。これらの都市国家では、封建貴族が都市に移住し、大商人と共に市政を担うことで共和政が成立する例が多く見られました。19世紀後半、サルデーニャ王国とガリバルディによるイタリア統一運動(リソルジメント)によりイタリア全土が統一されましたが、サン・マリノのみは独立を保持しました。13世紀に誕生した共和政都市国家が現在まで700年以上にわたって継続していることは、生きた文化的伝統の証拠であり、世界遺産としての価値が認められています。

サン・マリノに残る代表的な建造物

世界遺産に登録されている代表的な建造物は、防御に適したティタノ山の頂に集中しています。14世紀および16世紀の修道院、17世紀に建設されたティタノ劇場、19世紀に建造された新古典主義様式のバシリカ聖堂および共和国政庁であるプッブリコ宮殿などが含まれています。また、ティタノ山頂の岩山を利用して建てられた3つの塔も登録対象です。現在も人々が生活しており、多くの建物が実際に利用されています。都市共和国としての機能を維持しつつ、歴史地区として存続している点は特異な例です。さらに、ティタノ山頂という立地により、産業革命以降の都市化の影響を受けなかったことも高く評価されています。

アクセス

まずイタリアに入国し、陸路でサン・マリノへ入国する。イタリア到着後は、鉄道でリミニ駅まで移動し、そこからバスで約50分。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 2008年
登録基準 : (iii)
遺産の面積 : 0.55㎢
バッファ・ゾーン : 1.67㎢
座標 :N43 55 58 E12 27 7

アクセス

まずイタリアに入国し、陸路でサン・マリノへ入国する。イタリア到着後は、鉄道でリミニ駅まで移動し、そこからバスで約50分。

執筆協力者PROFILE

市川 賢司
市川 賢司
アレセイア湘南高等学校教諭/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

國學院大学文学部史学科卒。東海大学大学院文学研究科史学専攻修士課程修了。文学修士。NPO法人世界遺産アカデミー認定講師。世界遺産検定マイスター。歴史能力検定1級。世界史、世界遺産、ビッグヒストリーに関するさまざまな書籍の執筆・翻訳・監修を手掛けてきた。