ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ修道院とレオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』
レオナルド・ダ・ヴィンチの不朽の名作『最後の晩餐』が食堂の壁に描かれた修道院

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : イタリア共和国 分類 : 文化遺産 登録年 : 1980年 登録基準 : (i) (ii) 遺産の面積 : 0.015㎢ 座標 : N45 27 57.6 E9 10 15.6

about

ドミニコ会の修道院の食堂の壁に描かれた名画

ミラノの中心部に位置するサンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会は、15世紀の半ばに完成した教会です。敷地内にはドミニコ会の修道院があります。その食堂の壁には、レオナルド・ダ・ヴィンチが1495年から97年にかけて描いた『最後の晩餐』が残ります。縦4.2m×幅9.1mの巨大な壁画で、「遠近法」と「明暗法」を取り入れ、イエスとその弟子たちをリアルに浮き立たせた名画です。壁画は、壁の漆喰が乾ききらないうちに描くフレスコ画ではなく、卵などを絵具に混ぜて固定材として使用するテンペラ画の技法で描かれました。速乾性に優れ、細やかな筆遣いを可能としましたが、壁に描く場合は耐久性に劣るため、「最後の晩餐」も早くに損傷が進み、20世紀後半には修復作業が行われました。

アクセス

日本からミラノへは直行便で15~16時間。サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会へは地下鉄またはタクシーを利用。「最後の晩餐」見学は完全予約制。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。

Details

サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会

サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会

Church of Santa Maria delle Grazie

元あった聖堂を取り壊して13世紀末に着工し、15世紀半ばに完成した。教会の設計者は、ルネッサンス末期にミラノとローマで活躍したブラマンテ。建築期間が長期間になったため、当初のゴシック様式を基調としながらもルネサンス様式も取り入れた外観となった。第二次世界大戦中には危うく爆撃からの破壊を免れたと伝わる。
ドミニコ会修道院

ドミニコ会修道院

Dominican Convent

ドミニコ会は1206年に聖ドミニコにより設立されたカトリックの修道会で、正式名称は「説教者兄弟会」という。清貧を特に重んじたため「托鉢修道会」と呼ばれることがあり、神学の研究に励み、学者を多く輩出した。教会の敷地内にはドミニコ会の修道院が併設されている。

食堂

Refectory

ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァの依頼で、レオナルド・ダ・ヴィンチが壁に描いた「最後の晩餐」が残る。従来のフレスコ画の技法ではなく、テンペラ技法で描かれているが、耐久性に劣るため、壁画は早くから損傷が進んだ。

遺産DATA

分類 : 文化遺産
登録年 : 1980年
登録基準 : (i) (ii)
遺産の面積 : 0.015㎢
座標 :N45 27 57.6 E9 10 15.6

アクセス

日本からミラノへは直行便で15~16時間。サンタ・マリア・デッレ・グラーツィエ教会へは地下鉄またはタクシーを利用。「最後の晩餐」見学は完全予約制。

執筆協力者PROFILE

細谷 正文
細谷 正文
大東文化大学・フェリス女学院大学講師/NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

早稲田大学卒業。損害保険会社勤務の傍ら世界遺産を勉強し、退職後いくつかの大学にて関連講座を担当。現在は大学講師と趣味の音楽(クラシック歌手)の二刀流。