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キリスト教三大巡礼地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」
スペイン北西部、ガリシア地方の都市「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」はキリスト教三大巡礼地のひとつとして知られています。この地はかつて8〜10世紀に栄華を誇ったアストゥリアス王国の領土でした。イエス・キリストの愛弟子であるサンティアゴ(聖ヤコブのスペイン名)の遺骸が発見されたという噂から、9世紀初頭に当時の王アルフォンソ2世によって聖ヤコブをまつる聖堂が築かれます。この地はキリスト教において重要な巡礼地のひとつとなりますが、キリスト教徒とイスラム教徒との激しい争いの場にもなりました。997年にはアル・マンスールによって聖堂や市街が破壊されます。しかし、11世紀に街が再建されると、現在まで残る聖ヤコブの眠る聖堂が建造され、再びキリスト教の重要な巡礼地として名を馳せていきました。
聖ヤコブの眠るサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
現在のサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂は、街が再建された1128年にロマネスク様式で建てられたものです。その後も増改築が重ねられ、1750年にはバロック様式をベースに多彩な装飾が施されたチュリゲラ様式によるファサードが完成しました。その絢爛な装いから「黄金に輝く傑作」とも呼ばれています。また、大聖堂の正面門は「栄光の門」とも称されており、彫刻家マテオによって20年の歳月をかけて、1188年に完成しました。この門はロマネスク様式からゴシック様式へ移行する時期を示す重要な例証とされています。
多様な様式の建造物が立ち並ぶ世界有数の美しい市街
旧市街にはロマネスク、ゴシック、バロック(チュリゲラ)と多様な様式の建造物が立ち並び、世界有数の美しい街として知られています。そして、キリスト教の三大巡礼地のひとつであることから、今日も数多くの巡礼者がこの街を訪れています。また、ヨーロッパの各地ではサンティアゴ・デ・コンポステーラを終着地とする巡礼路も発達してきました。スペイン国内とフランスの巡礼路はそれぞれ世界遺産として登録されています。中世ヨーロッパにおける「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」は、西ヨーロッパ諸国のレコンキスタ(国土回復運動)への求心力を醸成させつつ、イベリア半島北部一帯の建築と芸術の発展に多大な影響を及ぼしました。
アクセス
マドリード空港からサンティアゴ・デ・コンポステーラ空港まで国内線で1時間15分。空港最寄りのロレンツォ駅からサンティアゴ E.i.駅まで約13分。駅から大聖堂まで徒歩で約25分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
Details
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂
Catedral de Santiago de Compostela
オブラドイロ広場
Praza do Obradoiro
市庁舎
Pazo de Raxoi
サンタ・マリア・デル・コンソ修道院
Igrexa da Nosa Señora da Mercé de Conxo
アクセス
マドリード空港からサンティアゴ・デ・コンポステーラ空港まで国内線で1時間15分。空港最寄りのロレンツォ駅からサンティアゴ E.i.駅まで約13分。駅から大聖堂まで徒歩で約25分。
執筆協力者PROFILE
広島県出身。平和継承の入口として世界遺産検定を受験。現在は認定講師として大学、専門学校等で講座実施。2021年にポッドキャスト「行きたくなる世界遺産!」(地域情報/トラベル部門最高2位獲得)を開設しパーソナリティを務めつつ世界遺産関連施設で番組イベントを開催。
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