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リュディア人の都市構造と硬貨発明
トルコ西部のマニサ県に位置する『サルディスとビン・テペのリディア古墳群』は、紀元前8〜6世紀に栄えたリュディア王国の唯一の都市と王族の墓地です。リュディアは世界初の金銀混合貨幣を発明し、経済史を大きく変えた文明です。サルディスのアクロポリスは厚さ20m・高さ10m以上の城壁に囲まれ、宮殿を支える巨大なテラス構造を備えており、独自の都市計画が特徴です。これらは王権の象徴であり、古代アナトリアの繁栄と技術力を今に伝えています。
東西文明をつないだ古代サルディス
サルディスは、ギリシャ世界とメソポタミア・エジプトを結ぶ交差点に位置し、文化・技術の交流を促しました。城壁や宮殿を支える白い石灰岩の大テラスは、ペルシャや後のペルガモンの都市計画にも影響を与えています。また、リュディア王国の最後の王、クロイソスは莫大な富を誇りましたが、ペルシャ王キュロスとの戦で敗れ、国を失いました。その出来事は、東西を問わず文学や歴史に繰り返し描かれています。交易、軍事、芸術の要衝としての役割が、この地を古代世界の中心に押し上げたことがわかります。
古代の王族が眠るビン・テペの壮観
マニサ県のマルマラ湖近くに広がるビン・テペは、「千の丘」を意味する古代の王族墓地です。紀元前6〜4世紀に築かれた119基以上の墳墓が75㎢にわたり点在し、サルディスの都を遠くからも見渡す位置にそびえます。中でもアリュアッテス王の墳墓は高さ63m、直径340mと世界最大級で、古代史家ヘロドトスが称えた偉大な建造物です。墳墓群はリュディア王権の威光と祖先崇拝の象徴であり、宮殿や城塞とともに一体的な景観を形作っていました。肥沃なゲディズ川流域の自然環境と戦略的な立地が、古代アナトリア文明の繁栄を支え、その痕跡が今も雄大な姿で残されています。
アクセス
イスタンブール空港からイズミル・アドナン・メンデレス空港まで飛行機で約1時間。さらにイズミル空港からサルト駅(サルディスの最寄り駅)まで電車で約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
アクセス
イスタンブール空港からイズミル・アドナン・メンデレス空港まで飛行機で約1時間。さらにイズミル空港からサルト駅(サルディスの最寄り駅)まで電車で約2時間30分。
執筆協力者PROFILE
世界遺産をテーマに、文化・歴史・自然の魅力を多角的に伝えるPodcast番組を展開。遺産の価値に加え、現代に通じる暮らしの哲学や自然共生の視点を取り入れた発信を行う。大学や世界遺産関連施設での講演・イベント出演のほか、2025年大阪・関西万博での登壇も経験。
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