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廃れた離宮の大改築を行なった一人の妃
元は王室の狩猟場であったこの地に、神聖ローマ帝国のレオポルト1世が夏の離宮の造営を決意したのが17世紀末でした。彼の子であるカール6世は、この宮殿をあまり好いていなかったため、宮殿は長らく放置されたようですが、カール6世の子であるマリア・テレジアが即位すると、この宮殿を大改築していきます。マリア・テレジアは当時、ピンクであった建物の壁を全て黄色に変えて、外観を重厚なバロック様式に統一する一方で、内観は繊細で優雅なロココ様式に統一しました。この黄色は「マリア・テレジア・イエロー」と言われており、今もウィーンの人々から愛されています。
数々の歴史の舞台にもなったオーストリアを代表する宮殿
シェーンブルン宮殿は、歴史の教科書に出てくる様々な出来事の舞台にもなりました。例えば、ナポレオンの後の欧州の秩序について話された1814~15年のウィーン会議は、この宮殿の「大ギャラリー」で開かれました。また、1961年にアメリカ大統領ケネディとソ連の最高指導者フルシチョフの歴史的な会談もこの宮殿で行われました。このように歴史の舞台にもなり続けたシェーンブルン宮殿と周辺の庭園、および建造物は、人類の創造的資質を示す傑作であるため、1996年に世界遺産に登録されました。時にフランスの「ヴェルサイユ宮殿」と比較されますが、かのナポレオンは、シェーンブルン宮殿のその格調高い雰囲気と居住性はヴェルサイユ宮殿を遥かにしのぐと評価していたようです。
アクセス
ウィーン国際空港から、国鉄や地下鉄を乗り継ぎ約40分、「シェーンブルン駅」下車。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
Details
シェーンブルン宮殿
Schönbrunn Palace
グロリエッテ
Gloriette Schönbrunn
動物園
Tiergarten Schönbrunn
大温室
Großes Palmenhaus Schönbrunn
アクセス
ウィーン国際空港から、国鉄や地下鉄を乗り継ぎ約40分、「シェーンブルン駅」下車。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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