シェーンブルン宮殿と庭園
マリア・テレジアが大規模に増改築した宮殿

遺産DATA

地域 : ヨーロッパ 保有国 : オーストリア共和国 所在地 : Vienna 分類 : 文化遺産 登録年 : 1996年 登録基準 : (i) (iv) 遺産の面積 : 1.8628㎢ バッファ・ゾーン : 2.6064㎢ 座標 : N48 11 12 E16 18 48

about

廃れた離宮の大改築を行なった一人の妃

元は王室の狩猟場であったこの地に、神聖ローマ帝国のレオポルト1世が夏の離宮の造営を決意したのが17世紀末でした。彼の子であるカール6世は、この宮殿をあまり好いていなかったため、宮殿は長らく放置されたようですが、カール6世の子であるマリア・テレジアが即位すると、この宮殿を大改築していきます。マリア・テレジアは当時、ピンクであった建物の壁を全て黄色に変えて、外観を重厚なバロック様式に統一する一方で、内観は繊細で優雅なロココ様式に統一しました。この黄色は「マリア・テレジア・イエロー」と言われており、今もウィーンの人々から愛されています。

数々の歴史の舞台にもなったオーストリアを代表する宮殿

シェーンブルン宮殿は、歴史の教科書に出てくる様々な出来事の舞台にもなりました。例えば、ナポレオンの後の欧州の秩序について話された1814~15年のウィーン会議は、この宮殿の「大ギャラリー」で開かれました。また、1961年にアメリカ大統領ケネディとソ連の最高指導者フルシチョフの歴史的な会談もこの宮殿で行われました。このように歴史の舞台にもなり続けたシェーンブルン宮殿と周辺の庭園、および建造物は、人類の創造的資質を示す傑作であるため、1996年に世界遺産に登録されました。時にフランスの「ヴェルサイユ宮殿」と比較されますが、かのナポレオンは、シェーンブルン宮殿のその格調高い雰囲気と居住性はヴェルサイユ宮殿を遥かにしのぐと評価していたようです。

アクセス

ウィーン国際空港から、国鉄や地下鉄を乗り継ぎ約40分、「シェーンブルン駅」下車。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。

Details

シェーンブルン宮殿

シェーンブルン宮殿

Schönbrunn Palace

1700年に建設され、以降マリア・テレジアにより大増築された大宮殿。全1,441室あり、宮殿で最も豪華な「百万の間」、公式行事や謁見の場であった「鏡の間」、18世紀ヨーロッパに流行した南国趣味を取り入れた壁画が描かれた「ベルクルの間」などが有名である。
グロリエッテ

グロリエッテ

Gloriette Schönbrunn

1757年のコリンの戦いで、マリア・テレジア軍がプロイセンのフリードリヒ2世に勝利したことを記念して1775年に建てられた戦勝記念堂である。宮殿のほぼ直線状に位置するが、約1.2kmも離れている。現在、内部はカフェになっている。
動物園

動物園

Tiergarten Schönbrunn

1752年、フランツ1世の命で設立され、ヨーゼフ2世により拡張された世界最古の動物園。庭園の西側に建設されている。ジャイアントパンダを見られることでも有名。また、中央のパビリオンは現在カフェになっている。
大温室

大温室

Großes Palmenhaus Schönbrunn

ガラスと金属でできたヨーロッパ最大規模の温室。庭園の西側に建設されており、全長は114mある。熱帯植物が生い茂るなど、気候帯別の三つの温室からなる。

遺産DATA

所在地 : Vienna
分類 : 文化遺産
登録年 : 1996年
登録基準 : (i) (iv)
遺産の面積 : 1.8628㎢
バッファ・ゾーン : 2.6064㎢
座標 :N48 11 12 E16 18 48

アクセス

ウィーン国際空港から、国鉄や地下鉄を乗り継ぎ約40分、「シェーンブルン駅」下車。

執筆協力者PROFILE

藤井 翼
藤井 翼
NPO法人世界遺産アカデミー認定講師

世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。