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世界初のアルプス越えを目指して
ゼメリング鉄道はアルプスを越えた最初の鉄道として世界遺産に登録されました。また、鉄道として初めて世界遺産登録された物件でもあります。ゼメリング鉄道は1848年に着工され、1854年に完成しました。それ以前はアルプスを越えるためには馬や徒歩での移動が主であり、鉄道での越境は非常に難しい課題でした。特に標高895mのゼメリング峠を越える鉄道の建設は困難とされていました。オーストリア帝国の鉄道技師カール・リッター・フォン・ゲーガは、新たな測量技術を開発し、二段アーチの高架橋やトンネルなどを建設して、わずか6年で鉄道を開通させました。ダイナマイトもない時代に、人力で岩を崩してこの難所に鉄道を開通したのはまさに奇跡の所業といえます。
難所の峠がリゾート地へ
鉄道は、標高436mのグログニッツ駅から始まり、677mのミュルツツーシュラーク駅に至ります。全長は約41kmで、14本のトンネル(総延長1,477m)と16の高架橋(同じく総延長1,477m)が含まれています。高架橋のうち4本は二段アーチ構造で建てられ、最も高いカルト・リンネ橋の高さは46mあります。アルプスの風景に溶け込むように、多くの建造物が石造りで建てられています。長く人を寄せ付けなかったゼメリング峠ですが、鉄道の開通により瞬く間にリゾート地に変貌していきます。沿線にはヴィラやホテルが建設され、ウィーンやブダペストの上流階級が訪れる避暑地となりました。車窓からアルプスの雄大な景色を楽しめる点も人気で、開通から150年以上が経過した今も、現役の鉄道として活躍しています。
アクセス
首都ウィーンの「ウィーン駅」から「ゼメリング駅」まで約2時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
アクセス
首都ウィーンの「ウィーン駅」から「ゼメリング駅」まで約2時間。
執筆協力者PROFILE
世界遺産検定初代マイスターの一人。地歴公民科の教諭として7年間大阪の公立高校で勤務。現在、世界遺産アカデミー認定講師として大学や私立中学で講義、授業を展開。また、自身のYouTubeチャンネル「翼の世界史チャンネル」で受験世界史の動画を配信。
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